2024年5月9日(木)

Wedge REPORT

2009年7月7日

 また07年には栃木トヨタ自動車が隣県の福島トヨタ自動車の株式の譲渡を受け、傘下に収めるなどの動きも出ている。地域担当制の導入はこうした資本関係の異なる地場ディーラーの利害関係の調整を「メーカーが一歩前に出て行う意志の表れ」(同)とみられ、今後、こうした地域レベルでの店舗統廃合などの動きが活発化することも予想される。

 ただ、こうした統廃合の動きはチャンネル1本化を実施済みの日産やホンダでは「本格化している」(片桐隆夫日産常務執行役員)。日産系では山口県下で、地場系の山口日産自動車と日産プリンス山口販売が萩・長門地区の2店舗と柳井・光地区の2店舗をそれぞれ従業員ともども交換。また茨城県下でも茨城日産自動車と日産プリンス茨城販売が高萩地区と笠間地区の店舗を交換、地域での競合を避ける体制を敷いた。さらに島根県下では日産直営の日産サティオ島根の全株式を地場資本の島根日産自動車に譲渡、「島根県内の日産車販売は、事実上、一社体制となった」(同)。

 また、もともと二輪車をベースとしているため独立系小規模店の多いホンダ系でも、3チャンネル一本化による「ホンダカーズ」の誕生とともに地域のホンダ直営店を中心に再編・大規模化を図っている。今後はこうした地域ごとの直営店を核に「地域ごとにきめ細かい販売戦略を展開していく」(小林ホンダ執行役員)方針で、これによってオールホンダの力をさらに結集していく考えのようだ。

ストックビジネスへ転換するディーラー

 こうしたメーカーサイドの新車販売中心の思惑とは別に、ディーラーサイドでも生き残りを模索する動きが顕著になっている。それはこれまでの新車販売中心の経営から脱皮し、新車、中古車、そして車検業務などのサービスをバランスよく運営する経営体質への移行だ。名古屋トヨペットの小栗副社長は「メーカーは(新車という)卵を産み続けなければならないが、我々、ディーラーは売った卵でも商売できる。むしろ、それが本筋だ」と言ってはばからない。いってみれば「保有」というストックビジネスへの転換だ。

 そのためには何が必要なのか。ここで各社が強調するのがユーザーとのよりきめ細かな接触であり、独自サービスの提供だ。大阪トヨタ自動車では「プリウス車検」といった独自のサービスを開発したり、財布の紐を握っている奥様(女性)をターゲットにした女性ばかりの営業チームを立ち上げたりしている。

 また名古屋トヨペットでは550人にのぼる営業マン全員にIP電話とノートパソコンを持たせ、ユーザーからの電話が入ると瞬時に車種や車齢など個別データが表示できるシステムを構築、運用を始めた。

 併せて整備力の強化にも力を入れている。とくにHVに加えて、今後、予想されるプラグインHVなどの導入を考えると、「整備担当者はこれまでの機械系技術に加えて、電子系の技術力も必要になってくる。これに併せた整備力の強化はガソリンスタンドなど他業態に流れている車検業務などの取り込みにもつながる」(小栗副社長)と言う。


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