不況を生き抜く管理会計

2009年7月3日

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田中靖浩 (たなか・やすひろ)

公認会計士

1963年生まれ。三重県四日市市出身。早稲田大学商学部卒。外資系コンサルティング会社などを経て独立開業。現在、田中公認会計士事務所所長。経営コンサルティングからセミナー、新聞・雑誌の連載などに幅広く活躍中。最近は落語家・講談師などとコラボによるライブイベントを展開中。日本公認会計士協会東京会・経営委員会委員長、経済産業省・財務管理人材育成システム開発事業審議委員、東京都立産業技術大学院大学「ものづくり経営人材育成講座」検討委員・講師などを歴任。著書は、『右脳でわかる!会計力トレーニング』、『経営がみえる会計』、『12日間速習プログラム決算書トレーニング』(以上日本経済新聞出版社)など多数。数点は海外にも翻訳出版されている。

 たとえば本屋さんに専門書を買いにいったとき、あまりの値段の高さにビックリした経験はないだろうか?たとえばフランス語とかイタリア語の参考書は薄いものでも1万円近い値段であることが少なくない。なぜこんなに高いのだろう?

 ---それは、専門書というのは「あまり部数が売れない」からだ。

 モノの値段は基本的に「売価=コスト+利益」で決まる。ここでコストは変動費と固定費に分けられるから、「売価=変動費+固定費+利益」となる。

 ここで問題は「固定費」の部分だ。本を作るコストにも変動費と固定費がある。変動費は紙代のように制作数に比例してかかるコスト。固定費は制作数に関係なく一定金額かかるコストだ。編集者の人件費などは固定費の典型例。1冊の売価を決めるためには、1冊あたりの変動費と1冊当たりの固定費が決まっていなければならないが、「1冊当たりの固定費」は部数の少ない本ほど高くなることはお分かりだろう。

 ・・・かくしてたくさん売れる本は安く、あまり売れない本は高いという価格設定が成立するわけだ。

人気のハイブリッドカー、成功の秘訣

 自動車産業や電機産業では工場へ多額の設備投資を行っている。これによって大きな固定費を抱えている。そうすると先ほどの本と同じ理屈が成立する。たくさん売ることができれば「1個あたりの固定費」が安くなり、あまり売れないと「1個あたりの固定費」が高くなってしまう。

 だからこそ、自動車でも家電でも会社はたくさん売ろうとするわけだ。たくさん売れば売るほど「1個あたりのコスト」が小さくなり、安い売価をつけることができるからだ。

 最近、プリウスやインサイトなどハイブリッドカーが人気らしい。人気の秘訣は低価格だ。会社からみれば、お客さんがたくさん買ってくれればくれるほど、安い価格で提供できる。一方、来年から電気自動車の一般消費者向け販売が始まるらしいが、最初はすごく高い値段であまり人気にならないだろう。最初はあまり売れないから1台当たりのコストが高くなって、安い価格設定ができないのだ。

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