世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年6月11日

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 Diplomat誌のティエッツィ編集員が、5月6日付Diplomat誌掲載の論説で、モゲリーニEU外交安保上級代表と楊潔篪外相の会談を取り上げ、EUと中国の安保協力は、海賊対策、テロ対策など個々の分野では進展するだろうが、一帯一路を含むより広範な地政学的文脈では、それほど簡単ではないだろう、と言っています。

画像:iStock

 すなわち、5月初め、フェデリカ・モゲリーニEU外交安保上級代表は、2014年11月の就任以来初めて中国を公式訪問し、中国の楊潔篪外相と会談した。両者は気候変動から防衛協力に至る広範な問題について議論し、ウクライナ、イラク、シリア、リビア、イランにも話が及んだ。

 これまで、中国とEUは、安保協力よりも経済関係の面で遥かに成功を収めて来たが、双方は、安保協力の実現が如何に重要か理解している。モゲリーニは、共同記者会見で、「お互いのために、地域的およびグローバルな課題や問題に、共同の役割を果たし得る」「互いに地理的に離れていようとも、グローバルな問題には国境がないことを我々は知っている」と述べた。

 モゲリーニは、アデン湾海賊対策の協力が「非常にうまく行っている」と言い、イラン核交渉での中国の「非常に有益な役割」に感謝するとともに、地中海における人身売買、密輸対策に中国が重要な役割を果たしている、と述べた。

 モゲリーニは、気候変動についても、EUは中国が役割を果たしていることに深い感謝を表明し、楊は、中国とEUは6月下旬にブリュッセルで行われる予定の中国・EU首脳会議に備え、気候変動についての協力を拡大するであろうと言っている。

 モゲリーニは、6月の首脳会議が、互いのインフラ及び結合政策の相乗効果に前進の機会を与えるであろう、とも言っている。中国の「一帯一路」構想は、海陸両方において、東アジアと欧州の間にインフラを構築し、貿易による結合を目指すものである。モゲリーニは、欧州戦略投資基金(EUと欧州投資銀行(EIB)が合計210億ユーロを負担し、民間からも投資を呼び込み、今後3年間で3150億ユーロをインフラ事業などに投資する計画。欧州委員会が提唱)を「一帯一路」と結び付ける可能性を示した。多くのEU加盟国は、既にAIIBへの参加により、中国の一帯一路構想への支持を示している。

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