2024年4月26日(金)

山師の手帳~“いちびり”が日本を救う~

2015年10月9日

中露が軍事行動を推進せざるを得ないワケ

 一方の中国当局は景気下支えのために昨年秋以降、相次ぐ利下げなどで金融を緩和し、インフラ投資を加速させているが、全くその効果は表れていない。失速懸念を払拭するのに躍起の習政権だが、下がりすぎた人民元相場を買い支える原資として保有する米国債を「爆売り」しているなども「やる事なす事」が矛盾しているために、市場の反応は正直であり習近平政権と中国経済が市場の信頼を取り戻すのは難しそうだ。

筆者

 中国側の足もとの景況感は不振を極めているが、習氏の訪米直後に英調査会社が公表した中国の景況感を示す9月の製造業購買担当者指数(PMI)速報値は下落している。好不況の判断となる指標を7カ月連続で割り込み、6年半ぶりの最低水準に落ち込んでいるのだ。国内の不平不満を逸らすために反日運動や南シナ海への軍事行動も大変に不自然な感じがしてならない。中国の経済の立て直しには武器輸出が手っ取り早いと考えている節がある。

 さらに今回のチタン会議で会ったロシア人の友人との会話の中では、今やロシアの軍用機の生産量はアメリカを追い抜いたと聞いてこれまた驚いた。

 経済制裁に苦しむロシアであるが原油価格の不振を補うためにも武器輸出や軍用機輸出も必要になってきているとの話題が出ているし、民間航空機でもボーイングやエアバスを遥かに凌ぐ超大型旅客機の製造が始まるとの情報もありこと話題には事欠かない国際会議であった。

 日本でも、武器輸出三原則を転換し、積極的に武器輸出を行うことに方針変換している。今や日本のエレクトロニクス産業は軍需技術の塊であるからデバイスだけの輸出より、付加価値の高い武器輸出に転換する流れも避ける事はできないのかもしれない。また、日本の防衛産業からすれば、武器関連輸出に注力しないと、中国をはじめとする他国が輸出するだけ、ということだろう。軍事的な緊張が起これば起こるほど、日本もこの流れに押し流されていくのかもしれない。

 これまでの全ての侵略戦争は防衛の名のもとに始まっている事を人類の歴史は証明している。これまでの国際チタン会議は平和利用のチタンの用途(石油化学、電解設備、建築土木、自動車、民間航空機、医療・民生用途など)の話題が中心であったが、今回の会議は軍需関連用途の話題が聞こえてきたことに危惧を感じている。

  
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