ヒットメーカーの舞台裏

2015年11月3日

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池原照雄 (いけはら・てるお)

ジャーナリスト

1950年生まれ。専門紙や全国紙の経済記者として自動車、エネルギー、金融、官庁などを担当。00年からフリーになり幅広い執筆、講演活動を展開。著書に「トヨタVSホンダ」(日刊工業新聞社)、「図解雑学 自動車業界のしくみ」(ナツメ社)など。

 ご存じ「カップヌードル」が開拓不十分であった10代、20代といった若年「女子」に狙いを定めた日清食品の新シリーズだ。2015年3月下旬に発売すると、わずか3カ月でヒットの目安である1000万食を突破した。購入者の約6割が女性で、競合他社の女子向け商品との比較では数倍の売り上げと同社は分析している。カップヌードルの新定番になる勢いを見せている。

赤パプリカやインゲン等カップ麺にはなかなか使用されなかった野菜を使い、麺にはレタス2個分の食物繊維も練り込んである

 味付けがお洒落だ。フランスの野菜煮込みである「ラタトゥイユ」と、イタリアのアンチョビなどをソースにした野菜料理「バーニャカウダ」の2品を発売時に投入した。希望小売価格はいずれも180円(消費税抜き)。ラーメン味が基本のカップ麺で意表を突く新顔だ。

 シリーズ名の「ライトプラス」のライトは、カロリーを通常品の約3分の2の198キロカロリーに抑えてダイエットを訴求。一方のプラスでは、レタス2個分の食物繊維を麺に練り込んで標準品の約7倍に増やし、具材野菜もたっぷり使った。

 野菜はズッキーニ、かぼちゃ、赤パプリカといった同社のカップ麺では初めてのものも採用、生野菜の状態だと約80グラムに及ぶ。個人的な印象だが食べていて「これでもか」というほど充足感がある。

 開発に着手したのは14年秋。同年9月に入社したばかりのマーケティング部ブランドマネージャーの佐橋育恵(46歳)が商品企画を担当した。カップ麺の顧客は男性主体であり、若年女子など女性需要の開拓という「永遠の課題」(佐橋)がこのプロジェクトのミッションだった。社歴は浅いものの内外の日用品や化粧品メーカーでマーケティングに従事し、いわば女性の消費行動を熟知している佐橋の起用となった。

 まず、女性へのアンケートでカップ麺の気掛かりな点などを整理した。すると、食べている人、食べない人の上位3項目は「カロリーが高い」、「野菜が足りない」、「栄養バランスが不十分」と全て一致した。また、カップ麺のイメージでも「おいしい」、「手軽」と上位の指摘が一致した。

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