Wedge REPORT

2015年12月15日

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中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。72年共同通信社に入社。88年から91年までニューヨーク特派員、経済分野を取材し、編集委員を経て2010年に退社。現在は経済ジャーナリスト。著書は「ジャパンマネーの奔流―ニューヨーク・東京・ロンドンの24時間」(1987年、ダイヤモンド社)、「日本買い 外資は何を狙っているか」(2005年、PHP研究所)など。


Q 「ほけんの窓口」グループだったライフプラザパートナーズ(LPP)の株式を日本生命に売却した理由は

A LPPの株式を日本生命に売却して、「ほけんの窓口」の連結対象から外れるが、引き続きLPPの第2位の株主になる。わが社は独立系乗り合い保険代理店の「来店型」だが、LPPは同代理店の「訪問型」だ。このため訪問販売の経験が豊富で指導力のある日本生命にやってもらった方が良いと判断した。もともとLPPは日本生命の代理店としては日本一の実績を挙げており、取り扱い実績から見て関係が深かった。

 今度の保険業法の改正で、初めて独立系乗り合い代理店も法律に明記されることになり、これからは独立系乗り合い代理店が保険販売のかなりのウエイトを占めると思う。このため、大手の生命保険も自社商品を自前で売るのに加えて、乗り合い代理店を傘下に置くことで流通チャンネルを増やし、マーケットに対する保険会社の責任を果たそうと考えているのではないか。

変わる手数料体系

Q 金融庁が保険の乗り合い代理店に対する規制を強化しようとしているが、その影響はないか

A 金融庁は独立系代理店において、顧客本位でない手数料目当ての販売に重大な問題意識を持っているようだが、私自身はストレスも負担感もまったくない。わが社は子会社も含めてすべて正社員にしているので、リベート目当ての押し込み販売など顧客本位の営業とはまったく無縁で、当然の方向と思っている。

 これからは代理店の手数料体系も変わってくるだろう。これまでは基本手数料に加えてボーナスやインセンティブの部分があったが、これからは基本手数料を中心とした体系に、支払期間も含めて変わっていくのではないかと思っている。

 わが社のように15社以上の保険会社の商品を販売し、年間手数料が10億円以上の代理店は、金融庁から毎月の手数料の報告を求められる。このため、変なインセンティブを払ったり、もらったりしていると通用しなくなる。現在、来店型乗り合い代理店のショップは数人でやっているところから大手まで店舗数は2千あるといわれている。結局は顧客のニーズに答えられないところは淘汰されていくだろう。

Q 前社長が不祥事を起こした時点の状況はどうだったのか

A 2年前は後一歩で倒れるところまで追い込まれていたが、計らずも社長をやらざるを得なくなり、マネジメントを一新し「第2の創業」を掲げた。会社の利益を追い求めるのではなく、顧客第一の方針に会社の哲学・文化・政策など全てを改め、会社の組織、人事、給与体系まで全部変えた。新しい方針についていけないと言って辞めた社員もいたが、大半は残ってくれた。

保険会社の営業というと、1980年代のころは「大量採用大量脱落」と呼ばれ、「保険のおばちゃん」と呼ばれていた営業社員を大量に採用はするものの、保険契約のノルマを達成できなくてすぐに辞めるという現象が問題になった。保険会社のオフィスに行くと、担当者の営業成績がグラフで表示され、成績で競わせるのが当たり前だった。だが、「ほけんの窓口」は契約成績の数字で競わせるやり方を辞めて、保険商品の内容を愚直に繰り返し説明する方法を徹底した結果、顧客の信用を得てきている。社員の側も成績によって給料が大幅に変動する給与体系から安定を重視した体系に変わったことで、辞める社員は5%程度だという。大手保険会社の販売方法をも見直させるほどの実績を上げている同社の動向からは目が離せなくなっている。

  
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