2024年4月26日(金)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2009年11月18日

 一方、最近の日中関係を見ると、米中関係との違いがより鮮明になるので、少し紹介しよう。アジア・中国への重視姿勢と、「脱米入亜」ともささやかれた東アジア共同体構想を提唱する鳩山由紀夫首相の誕生により、日中関係は一見良好なように見える。

 新華社発行『半月談内部版』誌で清華大学国際問題研究所の劉江永教授は、最近の日中関係に現れた4つの「重大な変化」に言及した。

(1) 日本国内の政権交代
(2) (GDP逆転に見られる)日中力量の変化
(3) (日本の中国市場進出加速など)相互依存関係の変化
(4) オバマ政権誕生と日米同盟弱体化

 劉教授は「チャンスであるが、われわれは挑戦にも直面しなければならない」と指摘している。

「民主党の若手議員130人出席」に潜むしこり

 この中で最も大きな変化はやはり民主党の誕生だ。オバマ氏訪日直前の11月10月、ホテルニューオータニで開かれた民主党と中国共産党による「交流協議機構」は異様な雰囲気に包まれた。中国側出席者は、新人を中心に130人以上も詰めかけた若手議員の存在に圧倒された。

 一方、中国政府の中堅幹部は「日本の外務省の人は見かけなかった」と漏らす。確かに同省を代表するような幹部は会場に入っておらず、対中外交の舞台でも鳩山政権の「政治主導」が発揮されたわけだが、日本政府関係者は、「民主党は野党時代に行ってきた『交流協議機構』でも外務省を排除したが、さすがに与党になれば、中国側と何が話し合われたか政府としても知る必要があるだろう」と憤慨する。

 また、10月末には、日中間にちょっとした問題が持ち上がった。チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世が10月30日から11月7日まで、ラビア・カーディル世界ウイグル会議議長が10月20日から11月2日までそれぞれ来日。東京でかちあう可能性があり、カーディル氏は、ダライ・ラマとの接触を希望したのだ。

 日本政府も、中国がチベット・ウイグル「分離・独立派」と位置付ける「大物」2人が日本で接触すれば、日中関係が悪化すると懸念し、情報収集に走った。しかし接触に前向きでなかったダライ・ラマ側の意向で、結局実現しなかった。

 中国政府の中堅幹部は、「ダライもラビアも、チベットや新疆を代表できない」と、入国を認めた日本政府に不満を隠さない。「今は中日関係協力の歴史的なチャンス」と繰り返す中国側は、「大方向」で米中連携を優先し、人権問題を棚上げした米国と日本の差異が気になっているのだ。

ギョーザ・ガス田は中国にとって「小問題」

 中国側が最も敏感に反応しているのが、鳩山首相が就任後、胡主席らとの会談で、さっそくギョーザ事件、東シナ海ガス田問題にこだわる姿勢を示したことだ。こうした問題の早急な解決を求める日本国民の意向とは違い、中国側にすれば「小問題」と映っているからだ。


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