中島厚志が読み解く「激動の経済」

2009年12月4日

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中島厚志 (なかじま・あつし)

経済産業研究所理事長

1952年生まれ。東京都出身。東大法学部卒業後、75年日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。パリ興銀社長、日本興業銀行調査部長、みずほ総合研究所専務執行役員チーフエコノミストなどを経て現職。著書に『統計で読み解く日本経済 最強の成長戦略』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『日本の突破口―経済停滞の原因は国民意識にあり』『世界経済連鎖する危機―「金融危機」「世界同時不況」の行方を読む』(東洋経済新報社)など。

 地価の下落が続いているが、景気持ち直し、地価調整の進展などから下落幅は縮小しつつあり、一部地域では底入れの兆しも見え始めた。とりわけ底入れ感があるのが、東京都心の優良オフィスビルである。その空室率は5年ぶりの高水準となったが、ピークアウト感が出ている。

 国際的に見ても、東京都心のオフィスビル市況は悪い方ではない。過度のサブプライムローンや商業用不動産向けローンの証券化が金融危機につながった米国、および欧州の一部では、不動産市況の回復は東京以上に遅れている。国際主要都市の賃料推移を見ても、東京は健闘している【図表1】。

【図表1】 悪くない東京のオフィス賃料
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利用価値に比べて地価がなお割高な地方

 もっとも、東京の不動産市況が相対的に悪くないとしても、全国の不動産市場が良いわけではない。地域別に不動産価格の推移を見ると、地価は三極化している【図表2】。東京と大阪の中心部の商業地公示地価の足元での下落幅は、直前好況期の上昇度合いに比べて限定的である。また、福岡、仙台等の地方の主要都市の足元での地価下落率は直前の好況期にほぼ見合う水準となっている。

 しかし、その他の地方都市では、景気状況にかかわらず地価は一貫して下落を続けている。日本は金融危機の震源地になったわけではない。それにもかかわらず、東京や大阪の中心部といった限られた地域以外の全国の不動産市況が下落しつづけているのは気がかりである。

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