イノベーションの風を読む

2016年5月13日

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川手恭輔 (かわて・きょうすけ)

コンセプトデザイン・サイエンティスト

1990年代から、大手メーカーでインターネットサービスの企画・開発・運用を手がけ、自ら立案したグローバルなサービスを複数立ち上げた経験を持つ。その1つは、サービスのデザインでグッドデザイン賞を受賞した。コンピューターサイエンス関連の翻訳本も多数ある。

 アップルの第2四半期(1月ー3月)の決算が発表され、iPhoneの販売台数が初めて減少した影響で13年ぶりの減収になったことが大きく報道されている。調査会社IDCによれば、同時期の世界スマートフォン出荷台数は3億3490万台で、前年同期の出荷台数(3億3430万台)とほぼ同数だったが、iPhoneのシェアは15.3%で対前年同期(18.3%)で3.0ポイント落ち込んだ。これまで2桁成長を続けてきた欧米や日本や中国といった、iPhoneのようなハイエンドのスマートフォンを受け入れてきた市場はすでに成熟し、今後の成長は1桁台にとどまると予想されている。

 成熟した市場で売り上げを伸ばすためには、買い替えのサイクルを短くしなければならないが、すでに人々にとってスマートフォンは充分なものになっている。高速のモバイル通信に対応したり、ディスプレイを綺麗にしたり、カメラの性能を上げたりしたとしても、これまでのように、2年前に購入したハードウェアを陳腐化することは難しくなりつつある。

 人々はスマートフォンを使って、SNSで何かを共有したり、LINEのようなメッセンジャーアプリでおしゃべりをしたり、あるいはゲームをしている。そして必要なときに個別のアプリを使って、検索サービスやコンテンツを提供するサービスを利用する。このような使い方なら、すでに持っているスマートフォンで十分だ。スマートフォンは、それまでになかった夢をもたらしてくれるものではなく、自分がやりたいことをするための道具になった。

 スマートフォンは人々の生活になくてはならないものになったが、それが「新しいiPhone」でなければならない理由はなくなりつつある。そして、それをさらに加速することが起きようとしている。

サービスのプラットフォームが変わる

 マルチタッチのスクリーンの発明と、タップやスワイプやピンチなどの指による操作(ジェスチャー)を可能にするモバイルOSによって、手のひらのサイズのデバイスで様々なアプリを使いこなすことが可能になった。そしてスマートフォン向けに何らかのサービスを提供しようとする企業は、iOS(iPhone)とAndroid OSという2つのプラットフォームの上で、非常に多くのアプリを競って開発してきた。スマートフォンの価値はアプリによってもたらされてきたと言っても過言ではないだろう。

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