WEDGE REPORT

2016年5月17日

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村中璃子 (むらなか・りこ)

医師・ジャーナリスト

医師・ジャーナリスト。東京都出身。一橋大学社会学部・大学院卒、社会学修士。その後、北海道大学医学部卒。WHO(世界保健機関)の新興・再興感染症対策チーム等を経て、医療・科学ものを中心に執筆中。京都大学大学院医学研究科非常勤講師も務める。

 シンポジウム終了後、かつてはこの学会の長であった横田氏に声をかける人は2、3人で、「他のシンポジストは患者を診ていない!」と怒りながら立ち去ったそうだ。

アカデミアの役割

 もう一人の座長である岡田賢司氏 (福岡歯科大学総合医学講座小児科学分野)は、4月21日に出された「子宮頸がんワクチン接種推進に向けた学術学会の見解」と題する、日本小児科学会をはじめとする17の学術団体が集まってつくった「予防接種推進専門協議会」の共同声明を紹介し、シンポジウムを締めくくった。声明では、国内外の疫学データをもとに、ワクチンの安全性を確認し、専門的見地から子宮頸がんワクチンの積極的な接種を推奨するとしている。

 3月16日には池田修一氏(信州大学医学部長)率いる厚生労働省研究班が、ワクチン薬害が証明されたかのようなミスリーディングな発表を行い(参考記事:「子宮頸がんワクチンと遺伝子 池田班のミスリード」)、3月30日には子宮頸がんワクチン被害者が、国と製薬会社を相手取って集団提訴を起こす予定という記者会見を開き、いずれも大きなニュースとなった。それらに比べれば、17学術団体による声明のニュースは扱いが小さかった。しかし、筆者の一連の記事を読んでいる賢明な読者は、子宮頸がんワクチン問題をめぐる、相反するふたつの流れに違和感を持ったことだろう。

 前会長を学会に呼び出し、フロアの挙手をもって現在の学会参加者の総意を示す――何でもないことのように思われるかもしれないが、徒弟制の根強い医学界でこれを行うのは並大抵の決意ではない。小児科学会に続き、アカデミアには、今後も具体的なアクションを続けていくことが求められている。 

  
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