海野素央の Love Trumps Hate

2017年6月20日

»著者プロフィール
著者
閉じる

海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授、心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08~10年、12~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年及び12年の米大統領選挙においてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。著書に「オバマ再選の内幕―オバマ陣営を支えた日本人が語る選挙戦略」(同友館)など多数。

公聴会の敗者はだれか?

 公聴会におけるセッションズ長官が繰り返す「思い出せない」という答弁に不信感を頂いた視聴者は少なくないでしょう。ただ、セッションズ長官の議論の仕方は巧みでした。1つ例を挙げてみましょう。2017年3月同長官はロシアゲート疑惑に関与しないと表明しました。ところが、同年5月コミー米連邦捜査局(FBI)長官解任支持の書簡に著名をしているのです。

 これに対してセッションズ長官は、コミー氏がロシアゲート疑惑以外にも捜査を行っていたので、それらに基づいて同氏のリーダーシップ能力を判断したと議論しました。総合的に判断しますと、同長官の「限定的な勝利」であったかもしれません。

 公聴会では、トランプ大統領の擁護派の急先鋒に立つトム・コットン上院議員(共和党・アーカンソー州)が存在感を示しました。同議員は、ロシアゲート疑惑はまるでスパイ小説ないしフィクション映画のようで、まったく根拠がないというメッセージを送ったのです。公聴会の前日、同大統領は与党・共和党上院議員をホワイトハウスに招き昼食を一緒にしています。その際、コットン議員は同大統領の左から2番目に着席しています。

 前回の「トランプvs元FBI長官、公聴会の勝者は誰か?」で説明しましたが、2017年2月14日付の米ニューヨーク・タイムズ紙の記事は誤りであるとコミー前長官に証言させたのもコットン議員でした。トランプ大統領が同議員を自分の強力な応援団の一人であると捉えていることは間違いありません。

 FOXニュースの人気番組「ハニティ」もトランプ大統領の熱烈な応援団です。「ハニティ」は、今回の公聴会を同大統領の大勝利であったと高く評価しました。そのうえで、ロシアゲート疑惑を「リベラル派による陰謀説」と断言しています。

 今回の公聴会において、民主党議員はセッションズ長官を攻めきれませんでした。その点において同党議員が敗者と言えるかもしれません。

 民主党議員にはジレンマが存在します。トランプ大統領はツイッターに、ロシアゲート疑惑は米国史上最大の魔女狩りであると繰り返し投稿しています。民主党議員が過度に攻撃的になると、同大統領の主張を正当化してしまうのです。今後、民主党議員は同大統領が仕掛けた魔女狩りの地雷を踏まないで、決定的な証拠を引き出す戦略が必要です。

  
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。

関連記事

新着記事

»もっと見る