世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年10月27日

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 この論説を読むと、少々考え過ぎではないかとまずは思います。二つの枢軸が西側を分断していると言いますが、一方の枢軸は3人の異端が偶然にも重なり合って演じている悲喜劇ではないのかとも思います。トランプ、カチンスキー、オルバンの奇怪な枢軸が「今やリベラルな秩序を損ない異なる価値体系を持ち込むための整然とし決然とした努力」を行っているというのは大袈裟ではないかとも思います。

 しかし、欧州に身を置くと、不気味なのでしょう。カチンスキーもオルバンもEUの拠って立つ基本的価値を守ることにはおよそ関心がない、というよりもこれを毀損することに躊躇がないように見えます。それにも増して、この論説の筆者が耳障りに思い、不快で邪魔に感じているのは大西洋の反対側から聞こえてくる声なのだという印象を受けます。論説の末尾で結論的にいわんとしていることは、トランプの干渉さえなければ、旧世界はメルケルとマクロンのリーダーシップの下で団結して欧州が大切に思う価値と資産を守っていく途も開けようということではないかと思われます。

 ポーランドとハンガリーは何といってもEUの一部であり、取り込んで団結は可能といいたいらしいですが、それは簡単ではありません。オルバンは、ジョージ・ソロスがEUによる秩序ある難民の受け入れ拡大を主張し、また人権擁護団体に資金援助していることが気に入らず、内政に干渉しているとして、彼の排撃に乗り出しています。10月には、オルバンが、ソロスの移民計画について800万の有権者に質問状を送付する全国調査が行われる様子です。既に、反移民、反ソロスの政府キャンペーンが行われており、街頭にはジョージ・ソロスの写真が入った掲示板が立てられ、そこには「ソロスが最後に笑うのを許すな」と書かれている由です。オルバンはソロスがブタペストに設立したCentral European Universityの閉鎖も企てています。この種のオルバンの行動はEUの移民政策に対する挑戦であり、ハンガリーに対する制裁(例えば、EUの構造基金による資金援助の停止)を求める意見も見られますが、それで解決する問題のようには思えないことが問題です。

  
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