中国人観光客はいま

2017年12月18日

»著者プロフィール
著者
閉じる

中島恵 (なかじま・けい)

ジャーナリスト

1967年山梨県生まれ。新聞記者を経てフリージャーナリスト。主な著書に『中国人エリートは日本人をこう見る』『中国人の誤解 日本人の誤解』(ともに日本経済新聞出版社)、『爆買い後、彼らはどこに向かうのか?』(プレジデント社)、『なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか?』『中国人エリートは日本をめざす』(ともに中央公論新社)、『なぜ中国人は財布を持たないのか』(日本経済新聞出版社)、『中国人富裕層はなぜ「日本の老舗」が好きなのか』(プレジデント社)などがある。

「第二の人生を秋月で」、夫婦で営む茶屋

 一方、同じ秋月で茶屋を営んでいるのは原口仁志さん、ペギー・チェンさんご夫婦だ。秋月の桜の名所「杉の馬場」で40年以上続いた名店『黒門茶屋』を今年9月に前経営者から引き継いだばかりだ。

秋月の桜並木に面した『黒門茶屋』

 原口さんは東京や香港、北京などでITの仕事をしてきたビジネスマンだったが、リタイア後は田舎暮らしをしたいと考えていた。妻のペギーさんは香港出身。オーストラリアでコンピュータなどを学び、マーケティングの仕事をするキャリアウーマンだったが、夫婦で秋月を旅行した際、ここが気に入り、第二の人生を秋月で送ろうと決めたという。2人で古民家を探していたとき、『黒門茶屋』に出会った。

 「飲食業は初めてでしたが、いい出合いがあったので、思い切って2人でこの地に引っ越してきて、お店をやってみようということになりました。幸い、以前の経営者のときから続けている調理師やスタッフの方々もそのままいて下さるので、スタートを切ることができました」(原口さん)

『黒門茶屋』を経営する原口さん、ペギーさんご夫妻

 日本人客以外に中国人など外国人客も多いが、夫婦ともに英語が堪能であり、ペギーさんは中国語や広東語もできるので、中国人のお客さんとのコミュニケーションにも困らない。ペギーさんにとっては初めての日本暮らしだが「戸惑いはありません。いろいろな人に出会えて楽しいし、ワクワクします」。原口さんもまた「秋月は桜と紅葉が注目されるのですが、四季がはっきりしています。店の前の『杉の馬場』は500メートル続く桜並木なのですが、初夏には新緑のトンネルとなり、夏はホタルが飛び、冬も雪景色がすばらしいのです。ぜひ、この風景を多くの方に楽しんでいただきたい」と、早くも秋月に馴染んでいるようだ。

 同店の名物は、地元で採れる淡水のりを使った「川茸定食」や「くず餅」「蒸し雑煮」など。現在はホームページやツイッターなどで情報を発信しているが、2018年からは中国語や英語のサイトも作成していく予定だ。

 今年、訪日中国人は700万人を超え、今後もますますインバウンドが注目されているが、日本の魅力は東京や大阪など大都会やショッピングだけではないはず。ゆったりとした時間が流れる、ここ秋月の魅力は、美しい景色に加えて、「ここに住む人々の温かい人柄にあったのだ」と思わせられる。
 

  
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。

関連記事

新着記事

»もっと見る