世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年9月19日

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 ベルリンにあるシンクタンク、ドイツ国際安全保障問題研究所のヴォルカ―・ペルテス所長は、8月28日付のプロジェクト・シンディケイトのサイトに寄稿し、独仏英の安全保障上の協力は、トランプ大統領の登場により強化された側面はあるが、この3国の協力が、Brexit後のEUと英国の関係を協調的なものとするだろう、と述べている。その要旨を簡単に紹介する。

(vololibero/bennyb/duleloncar_ns/iStock)

・Brexitによる緊張関係に関わらず、独仏英の3か国は欧米間の対立において、立場を同じにする。トランプ大統領のイラン合意からの脱退や駐イスラエルの大使館をエルサレムに移転する等の決断に、反対の立場であった。米国の国連人権理事会からの脱退や米国が中国との貿易戦争を拡大することにも、3国は反対である。

・英国は、EUの外交・安全保障政策の統合に賛成である。それには、アフリカに軍事訓練施設を設立することも含まれる。

・EUやNATO諸国にとって米国が最も重要な同盟国であることに変わりはないが、もはや一番頼りになる国という訳ではない。EUとしては、独自の戦略的独立性を早急に高める必要がある。今でもNATO同盟は、欧州の安全保障にとって不可欠のものであるが、EUは独自の戦略的優先順位を決める能力を持てるように努めている。

・英国には、外交経験、国際的影響力、政治・経済力もある。Brexit後に英国が、外交、安全保障及び防衛の政策でEUといかに共通にやっていけるか。それは、脱退に関する合意においても決められなければならないだろう。

・その中でも特に独仏英3か国の協力は、重要である。その実績は、既にイラン合意で証明された。その他にも3か国は、シリアやイエメン、中東和平、北アフリカ、地中海、インド洋及び南シナ海の海洋安全保障の問題でも、重要な役割を果たし得る。問題によって、EUの他諸国、イタリア、ポーランド、スペイン等とも組める。

・独仏英3国間の戦略協調は、Brexit合意の基礎となるだろう。それは、外交・安全保障政策に関するEUと英国との緊密な協力を維持するものになるだろう。

・今日見られる3国間の協力は、Brexit後も、EUの外交課題のトップを占めることになるだろう。

・2019年から2020年にかけて、独仏英3か国は、国連安全保障理事会の理事国となる。Brexit直後の移行期における国連安保理における3国の協力は、EUと英国の外交政策の協調を形づくるのに役立つだろう。

出典:Volker Perthes ‘Sustaining Europe’s Security Trio’, Project Syndicate, August 28, 2018

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