したたか者の流儀

2018年9月28日

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パスカル・ヤン (Pascal Yan)

著述家

著述家。ルーヴァン・カトリック大学大学院中退(ベルギー)。証券マンとして25年間、欧州を中心に海外で過ごす。現在の職業は都内大学教授。

 

 ドグマやイデオロギーを超えたオーラが必要となるが、マクロンにはそれが備わっているのだ。社会党の前オランド大統領の隠れ秘蔵っ子だったが、社会党からは出馬してない。逆に決戦投票では右翼のルペンの支持層が、表向き左翼のマクロンに投票していることからわかるように、左翼右翼や政党ではない強い主張をもっているのだ。

 ドイツ占領下のフランスでは国鉄職員が多大な犠牲を払った。ちなみにフランスの地方駅はかならずレジスタンス活動で犠牲になった鉄道員の石碑がある。しかし、現在まで甘やかされたSNCF(フランス国鉄)に手を入れなければ改革はできない。手を出せば自分の支持率が急落する。大統領も国民も先刻ご承知のことだ。

 それを顧みず改革を断行するマクロンに対する評価は、根雪のように不動の地盤を固めつつあると見るべきだろう。フランス国民は強いリーダーを求める傾向がある。支持率低下ではなく、根雪の数値が30%であると読むべきなのだ。

欧州を変革しうる人物

 現在、有力大臣の退任や警護員の暴力事件が重くのしかかるが、彼の強い信念と比べれば取るに足らないものだろう。この信念が伝わればさらに一期、すなわち2027年まで、その地位にとどまり、ほころびのでた欧州を変革しうる人物となろう。不支持60%の報道で日本からマクロンを判断してはいけない。

 今回、皇太子様のパリ訪問では特別待遇で対応している。フランス駐在の長い小生の経験から、マクロン夫人は強烈な日本ファンになる可能性を感じる。しからば、次回来日の際は高野山や京都御所、伊勢神宮などに誘えば、大成功間違いなしだ。“婦唱夫随”カップルとみた。今後権力の座に長く留まるマクロンを格別の日本通にする最良の方法はこれだ。

フランスのインテリは全員“モンコウヤ”(高野山)”クマノコドウ“(熊野古道)を知っている。マクロン夫人の夢でもあろう。

  
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