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2018年12月4日

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土方細秩子 (ひじかた・さちこ)

ジャーナリスト

ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

 ロサンゼルスオートショーではやはりこれから発売されるEVの発表が目立ったが、その中で「これからのEVスタートアップのモデル」となりそうなケースだったのがドイツのByton社だ。ドイツの、とは言えBytonの本社は中国南京であり、デザインセンターがドイツミュンヘン、そして研究開発施設、セールスオフィスなどがカリフォルニア州サンタクララとロサンゼルス、香港、北京に存在する。

Bytonの内装

 元々中国のハーモニー・ニュー・エナジー・オート・ホールディングスの子会社として出発したが、創業メンバーにはBMWでiシリーズEVの開発に加わったメンバーやテスラ出身者が含まれ、CEOにはBMWのi8プログラムを率いていたカールステン・ブレイトフェルド氏が就任するなど、欧州系企業の体裁を保つ。この辺り、米国で一時大きな話題となったEVスタートアップ企業、ファラディ・フューチャーに通じる点がある。

 

 Bytonには現在K-Byte、M-Byteという二つのコンセプトモデルがあるが、位置付けるとすればKはセダン型、Mはハッチバック型の車と言える。特徴は自動運転のための装備として「スマート・サーフェス」と呼ばれるセンサーをあらかじめ組み込んだボディ、車の屋根やサイド部分に組み込まれたアンテナ、360度カメラなどにある。

360度カメラ

 またインテリアには独立したメーターなどがなく、ステアリングの後方にあるのは25センチX125センチという巨大なスクリーン。スクリーンの操作はボイス、顔認識、ジェスチャー、タッチ、そしてボタン操作によって行うことが出来、Byton社ではこれを「本能的機能性」と呼ぶ。車が顔認識によってドライバーを認知し、指を動かすだけでドライバーの好むセッティングを自動的に実現する。さらにドライバーがリストバンドなどのデバイスを装着することにより、ドライバーの脈拍を記録したり、シートにより体重を記録してドライバーの健康維持をアシストすることも可能だという。

 もちろん大型スクリーン上ではこのほかコミュニケーション、エンターテイメント、スケジュールなど、通常の車内エンターテイメントシステムが提供することはほぼ全て可能となる。

 発売は2019年にまず中国で、その後2020年から米国、欧州へと販路を広げていく予定だ。Bytonにはすでにスマホアプリが存在し、インタラクティブなツールによって車の最新情報、画像などをチェックすることが出来る。すでに予約を受け付けているため、自分の車の状況もアプリによってチェックできる。

 価格は明らかにされていないが、4万5000ドルからが予定されていると言い、テスラモデル3のパフォーマンスモデルに対抗できる価格帯だ。この価格が実現できるのは中国での生産でコストダウンが可能なためだという。

 ブレイトフェルドCEOはオートショーでの会見で「新しいEVスタートアップ企業には必要な要素が4つある。テクノロジー、プロダクト、資本、そして工場だが、Bytonには既に全てが揃っている」と語った。確かにこれまでEVには多くの企業が参戦して来たが、スタートアップとして本当に成功したのはテスラくらいのものだ。それだけ自動車業界以外から新たに車を作り上げる、というのは困難なことでもある。

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