WEDGE REPORT

2011年10月24日

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この記事は、WEDGE11月号特集「物流も韓流 釜山港に集う貨物」の第1部です。

 「日本の海上貨物がどんどん釜山に運ばれている。釜山の新港なんて、先が見渡せないほど広いよ……」と、某船会社の幹部が教えてくれた。税制、関税面でも日本に比べて優位性が高いため、製造業を中心に日本企業が次々と韓国に進出している。空洞化は製造業ばかりではなく、物流にも及んでいるのか、実態を確かめるべく釜山に向かった─。

先まで見通すことができない釜山新港のコンテナターミナル

 成田から釜山に向かうと、2時間もしないうちに着陸態勢に入る。着陸直前、左側の窓からコの字型岸壁に赤色や青色のクレーンが並ぶ湾が見えた。これが釜山新港なのだろう。

 新港に向う途中、頂上までごっそりと削り取られた山が目に入った。後で聞いて、新港の埋立工事に使われたのだと知った。新港に到着すると、林立する巨大なガントリークレーンが目に飛び込んでくる。ガントリークレーンとは、岸壁に設置されて船から荷を出し入れするために使われるクレーンだ。最高部100メートルというこのクレーンが居並ぶ様は、まるで鉄骨のジャングルだ。

京浜、名古屋、阪神港を足しても敵わない釜山港

 新港建設は1995年からスタートした。南・北・西の総ターミナル延長は10キロにもなる。総事業費は9兆1542億ウォン(約6000億円、1ウォン=0.065円)。仁川国際空港、KTX(韓国高速鉄道)と合わせて国家三大事業の一つだ。2015年までに30~35バース(船席)を設置し、年間1062万TEU(Twenty-foot Equivalent Units。コンテナの規格は、20フィートと40フィートがあり20フィートコンテナ1個が1TEUとカウントされる)のコンテナ処理能力を整備する計画だ。現在までのところで18バースまで完成している。1000万TEUは、昨年1年間の東京港のコンテナ取扱量の約2.5倍の量だ。

 ガントリークレーンが並ぶ岸壁の背後にはコンテナヤード、物流倉庫が控える。さらに、片側4車線の道路を挟んで空き地が広がっている。ここには、住宅地のほか、学校、病院などまさに物流を起点とした「新たな都市」ができる。同時に、新港につながる高速道路が2本、鉄道が1本敷設される。

 こうした複合要素こそが、新港の強みに他ならない。港を拡張して荷量を増やすという規模の拡大、そしてコンテナヤードでは積み降ろしを迅速化してリードタイム(発注から納品までの時間)を削減、さらには物流倉庫で付加価値を付けて、国内外にモノを送り出す。

 新港を管理する釜山港湾公社(BPA)ゼネラルマネジャー代理のジン・ギュホ氏は「荷量を確保することが最も重要」と話す。というのも、荷量が少ないと入港した荷が溜まるまで船が遊んでしまって効率が落ちるが、逆に荷量が多いと船の効率が上がり、次々と船が来て、さらに荷を呼ぶことになるからだ。使い勝手の良い港には、荷が荷を呼ぶような好循環が生まれる。新港には見学用の広報館がある。ここでは「日本からの見学者が最も多く、今週だけでも日本から3組の訪問がありました」(BPAアシスタントマネジャーのチョウ・ギョンウン氏)という。

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