世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年5月7日

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 ニューヨーク・タイムズ4月13日付で、米タフツ大学フレッチャースクールのSung-Yoon Lee教授が、今回の北朝鮮のミサイル発射は、外部の警告を無視するという北朝鮮の長年のパターンの繰り返しであり、それに対して米韓は北の挑発に譲歩で報いるという過去の対応は取るべきでなく、北を厳しく罰するべきだ、と言っています。

 すなわち、今回の北朝鮮のミサイル打ち上げ失敗に関し、金正恩政権内部で権力争いがあるのではないかとか、米韓は北朝鮮に再び関与すべきだとかいう見方があるが、金正恩は挑発と平和攻勢を繰り返す、金日成・金正日路線を踏襲しているに過ぎない。

 北は誘因を与えれば行動を変えるよう説得できると考える者は、北は、朝鮮戦争を除き、プエブロ号事件やラングーン事件を含めてその攻撃や挑発のために罰せられたことは無く、逆に米韓は、危機回避のためとして、しばしば北の偽りの約束と引き換えに食糧・燃料・現金で北に報いてきたことを想起すべきだ。今回のミサイル発射劇も、そうした長年のパターンの繰り返しだ。

 つまり、米国はこれまで、言葉では強く非難するが、処罰は手ぬるく、ダメージをコントロールするために寛大な譲歩をしてきた。しかし、米国もその同盟国も、もはや短期的な外交上の利益をあげるために、長期的な戦略的利益を犠牲にするのは止めて、新しい共通の戦略、すなわち、食糧供給の停止に加え、経済制裁の強化、北の宣伝工作への反撃等を実施すべきだ。

 それによって北の挑発がすぐに阻止されることはないかもしれない。しかし、何もしなければ、良くても、北からの挑発が今後何十年も続くことになり、悪ければ、破滅的な戦争につながる核の危機が起きることになるだろう、と言っています。

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 今回のミサイル発射に至る米政府の対応に批判の余地があることは、すでに多方面から指摘されていますが、論説は発射後の米政府の対応について論じたもので、リー教授が言っていることはその通りでしょう。

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