世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年8月1日

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 近くTPPについて著書を出版する予定の、ニュー・ハンプシャー大学の政治学者Bernard K.Gordon が、Foreign Affairsの7-8月号で、TPPはドーハ・ラウンド以来の停滞を打ち破り、二国間FTAに伴う政治的煩雑さを克服するものであり、交渉により透明性を与え、その実現を図るべきであると、TPPの推進を唱導するとともに、日本のTPP参加が持つ大きな意義を指摘しています。

 すなわち、ドーハ・ラウンドは12年かかってほとんど失敗したと言える状況であり、その代りのFTAは、その度に、米国内で共和党・ビジネスと民主党・労働組合との間の対立を招き、オバマ政権はもう新しいFTAに取り組む意欲はない。そこで、ドーハの多国間協議とアジア太平洋のFTAを組み合わせたものがTPPだ。

 TPPは、日本の参加なしでは、その価値を発揮できない。日本を入れるとTPPは世界のGDPの40%を含むことになる。

 一番の問題は知的所有権だ。米国と日本は、この点で共通利益があるが、豪州、チリなどは米国の要求に強く反対している。また、国境なき医師団は、安価なジェネリック薬品が使えなくなることに抗議している。

 もう一つの問題は、交渉の秘密性だ。2月には、アメリカの諸研究機関の図書館のほとんど全部を代表する23の組織が情報の最大限の公開を要求している。

 TPPが成功すれば、米国は、次の世代に向かって、経済的、政治的により強力になろう。日本にとっては、第三の開国となろう。

それを年内に達成するためには、米国は、国内の自動車、保険、農業業界の反対を抑え、知的所有権に関する内外の批判に応え、そして交渉に透明性を与えねばならない、と結んでいます。

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 米国内のTPPの推進論者の、平明、常識的な論評です。これによれば、TPPについて、日本と日本以外の諸国との間に問題意識の違いがあることが分かります。日本以外の各国の最大関心事は知的所有権の問題のようですが、この場合、日本は米国と共に受益国の側になります。これは、将来、中国に対する場合、日米共通の利益として、有利な立場を築くことにつながります。

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