2024年4月26日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年10月10日

 豪は米・ニュージーランドと協力しつつ、遅ればせながら中国の南太平洋進出に対応している。軍事、統治等の分野での援助に加え、外交も活発化させている。7月にはフィジーとの外交関係を再構築し、軍事政権への制裁を緩和した。戦略的必要に鑑み、豪州が継続してこの問題に取り組むことは死活的に重要だ。

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 このウォリスの論説は、ちょうど、ラロトンガで南太平洋島嶼フォーラム首脳会議が開催されている時期に書かれたもので、時宜を得たものです。南太平洋島嶼フォーラムには、島嶼国の首脳に加え、豪州のギラード首相、ニュージーランド首相、クリントン米国務長官など、50カ国以上の国が代表団を送り込んでいます。

 南太平洋島嶼諸国は、パプア・ニューギニアを除くと、人口も少ない小国です。小国ゆえに、外交方針も台湾寄りになったり中国寄りになったり豪州寄りになったりと変わりやすい傾向にあります。中国が出てきて、援助を提供したりすると、簡単に中国になびく怖れがあり、実際、これまでにもそういう事例があります。豪州にとっては、この論説が言うように、南太平洋は裏庭であり、そこに中国がプレゼンスを増大させることは心配の種でしょう。

 ただ、この地域は、日本にとっては、シーレーンが通っているわけでもなく、戦略的にはそれほど重要とは言えません。しかしそうはいっても、全く無関係とも言えない地域ですから、現状では、豪州の懸念を共有して、援助についても豪州と協調するなど、豪州と必要な協力をしていくという政策をとるべきでしょう。中国の影響力を出来るだけ減らす方向で対処するのが正解であると思われます。

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