2024年4月26日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年10月12日

 米印関係の緊密化は結構なことです。

 中国は最近、鄧小平の遺訓を忘れて、自己の主張を積極的に打ち出していますが、南シナ海でも東シナ海でもインド方面でも、関係国から反発を受けています。

 中国は現在、自己過信気味です。アセアン諸国はそれほど強い国ではないので、対中関係で問題を避けることに熱心ですが、インドは違うのでしょう。日本も結局は違うし、アセアン諸国でも、インドネシアやベトナムは違うと思います。中国は少しやり過ぎで、周辺大国との関係を自ら悪化させています。

 一つ例外であるのは、対ロ関係です。中国は1964年の毛沢東発言以来、ロシアは日本に千島を返すべしという立場をとってきましたが、最近ではロシアの北方領土保有支持と尖閣についての中国の立場の支持を相互に行うことを申し入れるようなことをしています。ロシアも対中配慮をしています。台頭する中国をけん制するために、ロシアと組むことも考えるべきだと言う人が日本にはいますが、終戦時のロシアの対日裏切り行為を考えると、こういう発想には慎重にならないと、また騙されることになります。

 米印関係の将来に関しては、インドも大国であり、米国の思う通りには行かないでしょう。米国が、イランに対する制裁強化を唱導するなかで、テヘランの非同盟会議にはシン首相が出席し、イランとの関係を重視する姿勢を示しました。米印両国が相互に尊重しつつ、対中政策でどこまで協力出来るかは、中国の脅威に対する認識の強さや他の問題での摩擦の強さなど、多くの要因に左右されますので、米印関係の将来には、紆余曲折もあるでしょう。

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