日本の漁業は崖っぷち

2012年12月21日

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片野 歩 (かたの・あゆむ)

水産会社 海外担当

東京生まれ。早稲田大学卒。2015年水産物の持続可能性(サスティナビリティー)を議論する国際会議シーフードサミットで日本人初の最優秀賞を政策提言(Advocacy)部門で受賞。1990年より、最前線で北欧を主体とした水産物の買付業務に携わる。特に世界第2位の輸出国として成長を続けているノルウェーには、20年以上、毎年訪問を続け、日本の水産業との違いを目の当たりにしてきた。著書に『魚はどこに消えた?』(ウェッジ)、『日本の水産業は復活できる!』(日本経済新聞出版社)、「ノルウェーの水産資源管理改革」(八田達夫・髙田眞著『日本の農林水産業』<日本経済新聞出版社>所収)。

 しかし遂に2005年に摘発され、水揚げ・輸出数量等の資料が押収され実態が解明されていきました。英国での検挙は、日本の将来の資源管理システムの構築に参考になります。こうしてサバ資源は2005年の摘発以降、不正水揚げがなくなり回復傾向となっていることがグラフから容易に読み取れると思います。

ノルウェー水産業への誤解

赤い実線が北欧サバ資源量の推移。2005年以降の増加がはっきりと わかります。約2百万㌧から3百万㌧へと増加。実際の水揚げ数量も、 資源同様に大幅に増加しています。
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 前篇で頂いたコメントの中に、「2005年以降ノルウェーのサバ資源は回復していない」という意見がありました。実際はグラフの通りで、北欧サバの資源量は、乱獲摘発後に右肩上がりに回復しています。ノルウェー鯖の水揚げ量は、英国の乱獲が止まった2005年(11万トン)以降回復してきており、いただいたコメントの「26万トン(1994年)から11万トン(2005年)まで落ち込み、12万トン前後のまま低調。」という内容は正しくありません。2011年の漁獲は20万トンで2012年は18万トンと、2005年に比べて大幅に増加しています。

 実は、乱獲摘発後の資源回復というこの2005年のケースこそ、資源の減少は、環境の変化などではなく、乱獲に主原因があり、乱獲を防げば資源は回復すると筆者に確信させた出来事だったのです。

ノルウェー巻網漁船 (ノルウェー青物漁業協同組合)

 また、「漁獲量の変動は経営不振の漁船の淘汰を進める」という文言もありましたが、ノルウェーの漁業者は儲かっており、視察した方の報告にもあるように新造船が増えていますので正しくないと言えます。これも現場を見ればすぐにわかることです。さらに言えば「(ノルウェー漁業は)成長期を過ぎた産業」というのも現場を知る私からすれば、正しくありません。ノルウェーの水産大臣も、主力の水産物であるサバの資源が減少していたり、成長期を過ぎていたりしたら前篇にあったような自信に満ち溢れたスピーチをするはずがありません。

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