ヒットメーカーの舞台裏

2013年1月14日

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池原照雄 (いけはら・てるお)

ジャーナリスト

1950年生まれ。専門紙や全国紙の経済記者として自動車、エネルギー、金融、官庁などを担当。00年からフリーになり幅広い執筆、講演活動を展開。著書に「トヨタVSホンダ」(日刊工業新聞社)、「図解雑学 自動車業界のしくみ」(ナツメ社)など。

 タブレット端末のタッチパネル専用に開発したローラー式のクリーナーで、指紋や皮脂による汚れを落とす。カーペットなどの床掃除に使う「コロコロ」でお馴染みのニトムズと共同開発し、同社が製造を担当している。2012年9月に売り出すと、初年度3万個の計画に対し2倍のペースでの売れ行きとなった。企業が付属のケースに社名や商品名を付け、ノベルティグッズ(販促品)として活用するケースも増えているという。

 パネル面に強化ガラスを使ったタブレット端末向けに商品化したもので、購入時に端末のパネルに貼られている保護フィルムは取り除いた状態で使う。汚れ具合にもよるが、パネル面上で2~3回ほど転がせばクリーンアップされる。

 ローラーに貼られている粘着テープは、汚れの吸着性能が低下した段階でローラーから剥ぎ取ると、新しい粘着面に換わる。床掃除用のコロコロと同じ使い方だ。交換の目安は掃除40回分。粘着テープは12周巻きとなっており、1本でざっと500回の掃除ができる。価格は1260円で、同じ巻き数の交換用テープは525円で販売している。

 商品化のとっかかりは10年の秋。アップルの「iPad」発売を受け、関連する用品の開発が始まった。プレゼン用のスタンドやアプリ関連など様々なアイデアが出されるなか「拭く」という機能に注目したのが、商品企画部マーケティング課リーダーの鈴木信雄(42歳)だった。

 タブレット端末は業務用で使われる場合、数人で共用するケースが少なくない。鈴木は「みんなで触るので皮脂が付くのは避けられない。使う人が替わるごとに、さっと掃除できれば気持ちよく共用できる」とイメージした。また、タブレット端末で顧客にプレゼンする際、パネル面をきれいにするのはちょっとした演出になるとも考えた。

 まず、思いついたのはメガネ拭き用のクロスだが、完成品なので独自商品としてのアレンジには限界がある。鈴木はふと、営業部門にいた当時のことを思い出した。サンプル製品についた指紋をセロファンテープの粘着面で取り除いたり、逆に指にテープを貼って指紋が付かないようにしたことである。

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