2024年5月8日(水)

Wedge REPORT

2013年5月31日

小学校やヘルスセンターの建設も

 マイクロファイナンスとは貧困層に対する小口の無担保融資で、それまでお金を借りることができなかった貧しい人たちに資金を提供し、小さな事業を起こすことによって貧困から抜け出す機会を与えた。グラミン銀行の創設者で経済学者のムハマド・ユヌス氏がノーベル平和賞を受賞したことは日本でも記憶に新しい。

 1972年からバングラディシュでマイクロファイナンスに取り組んできたアベット氏は「マイクロファイナンスは18世紀頃より世界中で行われていました。現在は世界120カ国に広まり、顧客は2億人以上と言われています」と語った。

 さらに、「バングラディシュでの貧困層の8パーセントに当たるULTRA POORと呼ばれる人たちにはマイクロファイナンスでお金が行き渡ってもビジネスを起こすスキルがなく、日々の生活でお金を使ってしまい貯蓄をしていくのが難しい状況です」と続けた。

 こうした人たちに対しBRACではULTRA POOR PROGRAMを実施し、マイクロファイナンスの顧客になるための準備期間として2年をかけ、医療や教育の知識を与えたり、マイクロファイナンスをする準備としてお金の概念を取り入れたりしているそうだ。

 しかし、アベット氏はマイクロファイナンスだけで人々が貧困から抜け出せるわけではないことも強調し、包括的で持続可能な開発が非常に重要であると指摘した。

 そのためにBRACでは「マイクロファイナンスと合わせ、顧客の子どもたちが教育を受けられるよう小学校を建設し、健康管理のためにヘルスセンターを建設したりと様々な側面から支援する取り組みをしている」という。

いかに貸し倒れを防ぐか 

 マイクロファイナンスをビジネスとして成立させる鍵は、いかに運営コストを下げながら、貸し倒れを防ぐかにある。ローンオフィサーが一軒一軒回っているとコストが嵩む。そこで、借り手のグループをつくり、そのなかの信頼関係を活かして、一度の訪問で多くの借り手と面会する仕組みをつくっている。この仕組みで、バングラデシュでは一人のローンオフィサーで500人を受け持つことができているという。


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