ペットビジネス最前線

多種多彩なペットイベント 参加者にとって有益なものは?
主催者は社会的責任をどう果たすのか

成田 司 (なりた・つかさ)

ブリーダー、ペットショップ、ドッグカフェなどに勤務し、ペット業界を幅広く知り尽くす。現在は日本版ティアハイム(保護施設)建設を目指すGiraf Project(http://somode.info/giraf/)を主催。

ペットビジネス最前線

1兆円産業とも言われるペットビジネス。手の込んだおやつをはじめとした多種多様なフード、需要急増のペットシッター、人間顔負けの「癒し」サービスなど、裾野は広がるばかりだ。参入企業も増える一方、抱える問題も少なくない。ペットビジネスの「光と闇」を業界を知り尽くした著者が詳細にレポートする。

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 「ペットの社会的地位向上は、ペット産業の発展のために重要な要因である」ということは、たびたびこのコラムでも書いていることですので省略します。この目的を考えると、関連企業が主催するのであれば、自社製品やサービスの販売のためと納得できると思います。保護団体であれば、主に飼い主の意識向上や活動の啓蒙、ひいては保護動物の譲渡率の向上のためです。

 では獣医師や学者はと考えてみると、まずは活動に対する社会的な認識づけと言えるでしょう。

 動物介在教育の分野では、受刑者が訓練士と共に訓練した犬が、警察犬として認定されたニュースが最近話題となりました。受刑者が服役中に行う職業訓練に動物を取り入れた国内初の成功例です。このプログラム自体海外では多くの施設で行われており、出所後の再犯率が低いことでも有効な方法とされています。

 このほかにも、識字率を向上させるためのペットへの本の読み聞かせや、教室で犬を飼育することによって生徒の授業への集中力が高まった例など多くの可能性を期待できる分野です。動物介在療法でも、認知症の緩和や運動能力の回復など多くの良い結果が出ています。しかしながら国内でのこの分野の社会的認識はまだまだ、という状況だと言わざるを得ません。

 獣医学者と医療従事者、学識者と行政などの意識の違いが障壁となっている部分もあるようです。

 海外では社会的に認知された動物介在教育や療法などのプログラムが機能し、良い結果を収めている事例が多く認められています。我が国でも、現在の高齢化社会・寝たきり期間の延長・人間同士の関わりの希薄さから生まれる心の問題などの国内事情を解決する有効な手段の一つであると考えられますが、まだ広く国民に啓蒙されていないように感じられます。

 知りたいと思っても、専門性の高いセミナーなどに参加する場合、高額の聴講費や資格制度があるため参加者にとってハードルが高いと感じられることもあるようです。

 社会的な啓蒙という意味では専門家の育成目的だけでなく、興味の喚起という一段低いハードルのイベント開催も一つの手段なのではないかと考えます。

 ビジネスではなく社会的な活動は運営が難しいという側面もありますが……。

「命」について考えるイベント

 最近とても面白いイベントに参加させて頂きました。

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「ペットビジネス最前線」

著者

成田 司(なりた・つかさ)

ブリーダー、ペットショップ、ドッグカフェなどに勤務し、ペット業界を幅広く知り尽くす。現在は日本版ティアハイム(保護施設)建設を目指すGiraf Project(http://somode.info/giraf/)を主催。

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