WEDGE REPORT

親離れできない大学 子離れできない文科省
教育はなぜ変わらないのか

黒木登志夫 (くろき・としお)  前岐阜大学長、東京大学名誉教授

1936年生まれ。東北大学医学部卒。東京大学医科学研究所教授などを経て、2001年6月より岐阜大学長。08年から日本学術振興会学術システム研究センター副所長、12年より同相談役。東京大学名誉教授、岐阜大学名誉教授。著者に『落下傘学長奮闘記』『知的文章とプレゼンテーション』(いずれも中央公論新社)など。

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ビジネスの現場で日々発生しているファクトを、時間軸の長い視点で深く掘り下げて、日本の本質に迫る「WEDGE REPORT」。「現象の羅列」や「安易なランキング」ではなく、個別現象の根底にある流れとは何か、問題の根本はどこにあるのかを読み解きます。

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世界で一番少ない日本の高等教育予算

 OECDの統計によると、GDPあたりの高等教育予算は、加盟国の中で日本が世界一少ない(およそ0.8%)。それなのに何とかやっていけるのは、家庭に負担をかけているからである。実際、公的と私的な予算を合わせると世界水準に達する。

 大学への予算配分は年々少なくなっている。その分を補うため、外部資金に頼らざるを得ない。外部資金は強い大学に集中する。当然のことながら、東大が一番である。東大を100とすると、京大が60、阪大、東北大が50とつづき、10番目の大学は東大の15%程度に過ぎない。アメリカ、イギリスでは、10番目の大学でも、1位の大学の30%程度を確保していることを考えると、日本の大学がいかに東大に集中しているかが分かるであろう。

 東大の現執行部が発足したとき、私は、「東大一人勝ちは何故悪いか」という題目で、執行部メンバーに講演した。東大および旧帝大系の少数の大学に予算が集中することにより、人材と研究の多様性が奪われるからである。

●高等教育予算についての3つの提言

(1)高等教育への予算を、OECD参加国の平均値(GDP比1.4%)まで引き上げる
(2)予算の効率的運用を図るため、大学の機能分類(研究を重点的に進める大学、地域に貢献する大学、人材養成中心の大学など)を進める
(3)少なくとも上位30大学には、 研究大学に相応しい予算配分をする

 今、世界は急速にグローバル化している。世界のトップの大学の講義がインターネットで誰でもどこでも聴講できるような時代になったのだ。しかし、わが国の大学は、ガラパゴス化している。このままでは、日本の大学は世界から取り残されてしまうであろう。

■特集『ガバナンスなき教育委員会 先送りの文科省 教育はなぜ変わらないのか』
◎改革に抵抗する教育界と問題先送りする文科省
◎ギルド化する教員ムラ 動かざること岩盤の如し
◎親離れできない大学 子離れできない文科省 黒木登志夫(前岐阜大学長)*本記事

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◆WEDGE2013年10月号より










 

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著者

黒木登志夫(くろき・としお)

前岐阜大学長、東京大学名誉教授

1936年生まれ。東北大学医学部卒。東京大学医科学研究所教授などを経て、2001年6月より岐阜大学長。08年から日本学術振興会学術システム研究センター副所長、12年より同相談役。東京大学名誉教授、岐阜大学名誉教授。著者に『落下傘学長奮闘記』『知的文章とプレゼンテーション』(いずれも中央公論新社)など。

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