2024年4月27日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年2月11日

 我々の平和的な核能力は国際的に承認された保障措置のもとに置かれ、IAEAの査察がなされ、透明性が確保される。ただし、我々は、核エネルギーから利益を受ける権利は決して放棄しない。圧力、脅迫、イラン人を技術や薬品、食料など多くの必需品から遠ざけようとすることは雰囲気を害し、交渉進展の条件を掘り崩す。

 2013年に示したように、イランは誠実に交渉する用意がある。相手もこの機会の窓を利用する用意があることを希望する、と述べています。

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 このロウハニの論説は、2014年にもイランがシリア問題や核問題で国際社会と協力する意図を表明したもので、意義深いものです。

 米国を含む西側がロウハニの言うことを受け止め、建設的な姿勢で話し合いに応ずれば、2014年に核問題で今までにない成果をあげられる可能性があります。平和目的に限定された核濃縮をイランに認めるのが良いでしょう。ロウハニはここでも核濃縮の権利は放棄しないと言っており、無理な要求をして交渉を頓挫させるべきではありません。1月20日に、イランが核問題解決への「第一段階措置」として高濃縮ウランの製造を停止し、これに対し、欧米が経済制裁を一部緩和したのは、建設的な一歩として歓迎すべきでしょう。米議会の一部にある制裁強化論をオバマ政権は押さえるべく、最大の努力をする必要があります。この問題の解決に失敗することは、中東での大動乱につながります。それは、日本への原油供給にも直接響くことです。

 シリアについては、アサド支持のイランを政治解決に関与させるべきではないと考える人も多いですが、米国に軍事介入の用意がない以上、シリアでヒズボラや革命防衛隊を差配しているイランを関与させるほかありません。

 ロウハニは、新しい外交政策に国内でのコンセンサスづくりが要り、それについて作業中である、といっています。イラン国内での抵抗勢力が居ることは容易に想像できますが、ロウハニがこういう論説をプロジェクト・シンジケートに寄稿し得たこと自体、国内コンセンサスづくりがある程度進んでいる証左と見て良いのでしょう。この論説からは、ロウハニに賭けてみるのがよいという印象を受けます。

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