2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年2月11日

 イランのロウハニ大統領が、プロジェクト・シンジケートのサイトへの1月8日付寄稿において、イラン核問題、シリア問題への対応を説明するとともに、イラン外交全般について緊張緩和を追求していく、と表明しています。

 すなわち、大統領選挙で私は現実主義とイランの理想をバランスすることを訴え、支持を得た。自分は穏健さと良識を旨としている。それが昨年11月のイラン核についての暫定合意になったが、2014年も、これが引き続き意思決定の指針になる。

 外交では、諸国と建設的な外交関係を持ち、国内での経済建設を可能にしたい。このため、緊張を除き、伝統的・パートナー、新しいパートナー双方との関係を強化する。そのためには国内でのコンセンサスがいるが、そのための作業は進行中である。

 我々は、相互尊重に基づく、欧米諸国との関係改善を望んでいる。これは、緊張緩和、経済関係を含む包括的なアプローチの実施を必要とする。米・イラン関係については、古い緊張を取り除きつつ、新しい緊張を避けることがスタート地点となる。我々が60年、米政府に対して抱いて来た不信はあるが、今は、現在と将来に目を向けなければならない。圧力グループに従うよりそれを指導しなければならない。我々は、相互関心事項での協力が緊張緩和につながると考える。それを邪魔している勢力に対抗する必要がある。核問題が未解決では、イラン・米対決は継続する。

 中東は、かつてないほど宗派主義、集団憎悪、極端主義やテロリズムの問題で悩んでいる。そういう中で穏健な声は情勢を良い方向に向かわせる。近隣国での騒乱は多くの国に影響を与える。イランは地域の主要国として長期的安定確保のために動く用意がある。イランの脅威を言い立て、その信用を損なおうとしている者は、それをやめるべきである。

 私はシリアでの人道的悲劇を懸念している。化学兵器攻撃を経験した国民として我々はシリアでの化学兵器使用を非難する。私は、また、シリア領土の一部がテロリストの集結場所になっていることを懸念している。シリアでの永続性のある政治解決は協力を必要とする。それゆえ、我々はシリアについて軍事介入ではなく、外交が優位に立ったことを歓迎している。我々はシリアの平和と安定に貢献する用意がある。

 イランの平和的核プログラムについて、イランが核兵器開発成功にどれほど迫っているか、様々な予測があったが、根拠はなかった。我々は、核爆弾を作るために作業しないと約束している。我々は、最高指導者ハメネイが言うように、核兵器はイスラムの規範に反すると信じている。核兵器開発など考えたこともない。核兵器は我々の国家安全保障利益のためにならない。選挙中、私は核問題の解決を早急にすると約束した。我々は恒久的解決を追求していく。11月の暫定合意を進め、イランとP5+1で作業をしていく考えである。


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