2024年4月27日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年5月28日

 世界で第二、第三の経済帝国同士を衝突させることは、誰の利益にもならない。オバマが安倍との間で新しいパートナーシップを開始し、他の人々にも安倍を受け入れることを納得させることができれば、オバマのアジア歴訪は成功となろう、と論じています。

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 オースリンは、常に、日本に対する理解と期待を寄せてくれる、米論壇の中で、最も信頼できる友人と言ってよいでしょう。この論説では、オースリンは、米国がアジアへリバランスするならば、そのパートナーとしては日本しかない、と強調しています。

 それは、正しい判断なのでしょう。1980年代のロン・ヤス時代、米国は、アジアでは日本だけを頼りにして、極東の軍事バランスを逆転させました。それが、ジム・アワーの言う「隠れた成功の物語」(hidden success story) です。日本は、80年代初めから90年代初めまで、十余年にわたって、防衛費を5%以上増加させ、極東における日米同盟対ソ連の軍事バランスを完全に逆転させました。1980年ごろは、自衛隊の作戦は、ソ連の侵攻に対して、北海道で、硫黄島のように地下壕で持久することでしたが、80年代末には、ソ連の海空軍を日本海から出さないように閉じ込めることに変わりました。

 今回は、もはや高度成長時代ではありませんが、安倍政権の下、毎年、少なくとも、予算増に見合った防衛費増は可能でしょう。それだけでも、米国のアジア政策にとって、力強い支援となります。オースリンは、今度の首脳会談で、オバマが寿司会食の席で、そのことを認識したかもしれない、と指摘しています。 

 オバマのこういう前向きの姿勢の裏には、日米の軍同士、あるいは防衛省とペンタゴンとの相互信頼協力関係があります。今後とも、この協力関係が日米同盟を支える支柱となるであろうことは、期待して良いと思われます。

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