2024年12月9日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年5月28日

 アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)のオースリン日本研究部長が、Foreign Policy誌ウェブサイト4月23日付掲載の論説で、オバマ政権が安倍総理をアジアにおける不可欠のパートナーとして受け入れることが、アジア・リバランスを救う唯一の道であり、それはアジアの平和と安定に貢献することになるだろう、と述べています。

 すなわち、安倍総理の外交安保政策は、国際的には、議論を呼んでいる。単刀直入に言って、安倍は、ソウルと北京では嫌われ、そして恐れられ、ワシントンでの評価は定まっていない。しかし、世界は、安倍と共存することを学ぶ必要がある。というのは、おそらく、そうすることがより安定したアジアをもたらすことになるからである。

 オバマ政権が安倍を信頼し難いと思っていたのは、ほぼ公然の事実である。それは、安倍自身の靖国参拝や、側近による慰安婦への謝罪見直し示唆のような、安倍政権側の行為による面もある。安倍が愛国心を大っぴらに表現することにも不快感があり、安倍が攻撃的なナショナリズムを煽るのではないかとの懸念がある。

 ワシントンの不満の原因の一部は、2006年の在沖米海兵隊の基地再編合意につき不必要に再交渉しようとしてワシントンを苛立たせた、日本の民主党前政権にも遡るかもしれない。オバマ政権は、将来のアジアの平和と安定への日本の貢献が、中国の潜在的可能性と比べて影が薄いと考えているように見える。ワシントンは、主として北京に焦点を当てるべきである、という考えになっている。

 しかし、安倍は、オバマ政権が望むものを提供してもいる。安倍は、精力的に日本の安保政策を向上させている。12月には、日本として初の国家安全保障戦略を発表し、「積極的平和主義」を打ち出した。また、国家安全保障会議を設立し、集団的自衛権行使容認を認める提言をアップデートし発表した。

 ワシントンにとって、とりわけ喜ぶべきことは、安倍が、厄介な基地問題に断固として取り組み、沖縄北部における米海兵隊の新しい基地に対する地元の承認を取り付けたことである。彼は、次期主力戦闘機として、F-35を少なくとも40機購入する計画も確実なものとした。そして、4月には、東京は、長年にわたる武器禁輸を終わらせ、日本の防衛セクターが海外市場に武器を売ったり、米国のパートナーと先進的な武器システムを共同開発できるようにした。


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