4月29日、オバマ大統領は1週間で日本、韓国、マレーシア、フィリピンの4カ国を訪問する歴訪を終えた。北東アジアと東南アジアでそれぞれ2カ国ずつ訪問し、かつ、中国を素通りする日程は、米国のアジア太平洋地域へのリバランス(再調整)を改めて同盟国・友好国との間で確認し、「(アジア・太平洋)地域における規則に基づいた秩序に対するコミットメントの再確認」(スーザン・ライス米国家安全保障担当大統領補佐官)を目的としたものだった。
安保問題での「満額回答」に喜ぶ日本だが…
特に日本では、オバマ大統領の今回の訪日は米国大統領として18年ぶりの国賓としての訪問であることもあり、日本のメディアでは大層、注目された。4月23日に日本に到着し、25日には韓国に向かって出発するという駆け足の日程ではあったが、オバマ大統領は、安倍総理との日米首脳会談のほか、到着当日の安倍総理との、ドキュメンタリー映画も作られているミシュラン・ガイドから三ツ星を獲得した海外でも有名な「すきやばし次郎」での夕食会、24日夜の天皇陛下主催晩さん会、科学未来館訪問など、ビッシリのスケジュールをこなし、日本滞在中はオバマ訪日関連ニュースが新聞紙上を埋めた。
特に、読売新聞の紙面インタビューに応じ、その中で尖閣諸島は「日本の施政下にある」として日米安全保障条約第5条に基づく米国の防衛義務の対象に含まれることを明言し、日米首脳会談後の共同記者会見でも「繰り返しになるが、日本の安全保障に対する我が国の条約上のコミットメントは絶対(absolute)であり、(安全保障条約の)第5条は日本の施政下にあるすべての領域を含むもので、尖閣諸島も右に含まれる」と述べるなど、尖閣諸島問題をめぐる米国の対応が「煮え切らない」という日本国内の雰囲気にことさらの配慮を見せた。
集団的自衛権行使をめぐる解釈変更を含む、安倍政権の安全保障政策についても、前述の紙面インタビューで、「我々は国際安全保障を維持するためにより大きな役割を果たしたいという日本の願いを熱烈に歓迎している」「安倍総理の努力を称賛する」など、非常に前向きで、環太平洋パートナーシップ(TPP)参加をめぐる日米間の正式発表に至らなかった経済・通商問題とは対照的に、安保問題については「満額回答」に近い成果を得た、というのが日本から伝わってくる雰囲気だ。