うつ病蔓延時代への処方箋

2014年10月9日

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 社会的な側面から言えば、高度経済成長期から都市化が進み、マイホーム、核家族などで社会的な緩衝作用のあるバッファーが劣化したこと、商業主義の影響で夜遅くまでPCなどのディスプレーを見ている。これは睡眠の質を低下させます。

 また、アルコールの消費量をみるとバブル期から高止まりしています。これは、みんなで大酒を飲んでいるということでしょう。決していい状態とは言えません。生活環境は向上していると思いがちですが、人間が本来もっている集団で暮らすこと、体内時計に基づいた睡眠サイクルなどが損なわれやすい環境と言えます。

 重度な精神障害の人と違い、いま精神科に通う人は就労することができている健常な人たちが多いのではないでしょうか。その人たちは社会的な障害を起こし、症状を訴えやすい環境にいるので、それが職場でのメンタル不調となり患者数が増えることにつながっています。

職場うつは会社、上司だけの責任か

 ―― 社会、生活環境の変化などがメンタル不調の要因になっていることはわかります。ただ、現状の改善は容易ではない。では対処法として早期発見が大事になる。調子が悪ければ早く医者にかかるというのは、基本的に薬で治すということになります。

亀田:会社でメンタルヘルスに向き合う人事関係の人は、職場うつは未解明あることを理解せず、精神科医が薬を出せば治るだろうと思い込んでいる。医師は、脳内の神経伝達物質の状態を良くするという仮説で薬を出している。もちろん対処療法的な技術は向上していますが、それが職場での問題を解消することとは限りません。

 また、うつ病の原因は職場のストレスとみられていますが、職場でのストレスは一部の要因だと思う。しかし日本では、ストレスは職場が原因であり、会社の責任、上司の責任であるというコンセンサスができあがっている。自己責任という概念が日本では見当たりません。

 ―― 今後、ストレスチェック制度で確認される高ストレス状態について説明してください。

亀田:私も精神科医に聞くのですが、よくわかりません。うつ病と診断せずに高ストレス状態というならば、ストレスを取り除いてやればうつ病は発病しないはず。加えて現実の職場でストレスを取り除くことが可能なのかどうか。大いに疑問が残ります。

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