世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年10月27日

 西側が中国を正しく理解できない根本原因は、中華人民共和国建国以来、西側が自らに都合の良いレンズを通して中国を見続けてきたことである、と米ハドソン研究所上席研究員のピルズベリーが、9月17日付ウォールストリート・ジャーナル紙掲載の論説で述べています。

 すなわち、1949年10月1日に毛沢東が中華人民共和国の建国を宣言して以降、数十年にわたり、西側の多くのチャイナウォッチャーは、共産党体制は崩壊すると予言したり、穏健派がより民主的な中国に導くことを期待したりした。しかし、今日、習近平体制下の共産党は、毛沢東の死後のどの時期よりも、強力で、国家主義的で、一党独裁体制の維持に強くコミットしている。

 西側の政府は、毛沢東の中国を、最初から誤解していた。トルーマン、アイゼンハワー政権の専門家は、中国が朝鮮戦争に参加することは無いと見ていた。ケネディとジョンソンは、中国はベトナムに関わらないと思っていた。米国の歴代政権は、中国はソ連に従うジュニア・パートナーであると信じていたが、1969年には、中ソ国境で紛争が勃発した。ニクソンとキッシンジャーの時代、米国は、中ソ関係は恒久的に損なわれると見て、1972年のニクソンショックに至った。

 レーガン政権が発足するまでには、「共産主義中国」は、自由主義経済、民主主義国家への途次にある、という見方が支配的となった。そういう結果は、30年経っても現れてこない。ブッシュ(父)政権で、1989年の天安門事件を予測した者はいない。翌年、中国は外交方針を転換し、ソ連の戦闘機と潜水艦を購入し、台湾に脅威を与え、米政府に衝撃を与えた。

 人民解放軍についても、予測は誤っていた。地上軍中心の、近距離を守備範囲とする軍であり続けるであろうとの予測に反して、中国の指導者たちは、米国の軍事力に追いつくための「革新的な計画」について議論している。

 中華帝国は、我々がこれまでに直面してきた中で最強の敵となり得るが、相変わらず謎に包まれたままである。問題は、中国にではなく我々にある。60年間、西側は、中国を、ソ連への潜在的抑え役、あるいは、米国の貿易・投資相手といった、自らの利益の観点から見てきた。また、民主主義への準備が出来ている国、世界的調和を求める儒教文明の国といった、心地よいイメージで中国を見てきた。その一方、中国でナショナリズムが高まっていることを警告する文書、行動、宣言を無視してきた。我々は、希望的観測に反する声に耳を傾けて来なかったので、中国が何を望んでいるのか、分からずにいる。

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