学びなおしのリスク論

2015年2月12日

»著者プロフィール
閉じる

漆原次郎 (うるしはら・じろう)

1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、科学技術関連の記事を寄稿。早稲田大学大学院科学技術ジャーナリスト養成プログラム修了。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。著書に『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』『日産驚異の会議』『宇宙飛行士になるには』など。

 もう一つの“どれだけ寝るか”については、現代の日本人の睡眠時間は7時間半を中央値に正規分布しているという統計的な傾向は出ている。だが、すべての人が7時間半、寝ていることを意味するものではない。当然、個人差がある。「個人の必要睡眠時間を調べるにはかなり手間暇をかけた試験が必要です。簡単にチェックする方法はなく、まだお手上げ状態なんです」。

 自分にとっての“いつ寝るか”と“どれだけ寝るか”は人によりけり。だが、現代社会を生きる多くの人に共通するのは、“朝から働かなければならない”ということだ。不眠や睡眠不足の人に対する有効な方策とはどのようなものか。

 個人に対するアドバイスとして三島氏は、土曜・日曜を含めた1週間を通して、朝に太陽光などの光を浴びるということを薦める。これで、体内時計を調節でき、たとえ本来は夜型の人も、朝型にシフトしていく。「土日も寝坊しないように朝はとにかく一旦、起きるのです。もし、昼に眠くなったら仮眠を20分ほどとります。この程度の昼寝であれば夜の睡眠に対する影響も少なく、眠気の気持ち悪さを解消できます。午後の早い時間帯での昼寝なら体内時計も乱しません」。

 だが、三島氏は、個人の取り組みとは別に、もう一つの対策も必要と言う。“社会の睡眠問題対策”だ。

 「ハンディキャップをもつ方のためには、バリアフリーの設備や制度がつくられます。でも、こと睡眠の問題となると、社会には“自己管理ですべて済む”という思い込みがあります。本当は体内時計もみなまちまちなのに。画一的な始業時刻に当てはめると、そこからドロップアウトしてしまう人もいます。睡眠の多様性を社会はもっと認めるべきではないでしょうか」

◎今回のまとめ◎
・不眠症などの睡眠の問題は、精神疾患や生活習慣病といった他の病気と密接不可分。
・土日などの休日に睡眠不足を解消したと感じても、体は睡眠不足状態のままのおそれあり。
・睡眠障害や睡眠不足のリスクは、個人だけでなく社会が軽減していくべきもの。

  
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る