ヒットメーカーの舞台裏

2009年9月30日

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池原照雄 (いけはら・てるお)

ジャーナリスト

1950年生まれ。専門紙や全国紙の経済記者として自動車、エネルギー、金融、官庁などを担当。00年からフリーになり幅広い執筆、講演活動を展開。著書に「トヨタVSホンダ」(日刊工業新聞社)、「図解雑学 自動車業界のしくみ」(ナツメ社)など。

 1日の総消費カロリー量や身体活動の状況がグラフで表示される。カロリーの「摂取量」を気にする人は多いが、個人レベルでは把握が困難だった「消費量」にスポットを当てた。「入り」だけでなく「出(いずる)」も計って、健康管理に役立ててもらう狙いだ。40代の男女を主なユーザー層と想定していたところ、ダイエットに関心の強い30代女性など幅広い層に受け入れられた。今年4月の発売後、3カ月で年間目標としていた3万台を突破している。

1日の総消費カロリーがグラフで表示される活動量計 タニタ「カロリズム」

 あらかじめ年齢、性別、身長、体重など本人情報を登録して、本体を胸ポケットなどに装着して使う。歩く、机について仕事するといった日常生活での身体の動きを検知して、消費カロリー量を測定するほか、脂肪燃焼量や運動量の単位である「エクササイズ」も計算できる。厚生労働省は生活習慣病予防の目安として1週間の運動量目標を「23エクササイズ」と推奨しているが、カロリズムでは実際どれだけの運動量であったかを過去12週間分まで把握できるようにした。

 また、1日の消費状況は、本体のモニターで1時間ごとに棒グラフ表示されるのもミソだ。自分の身体活動量が刻々と示されるため、「今日はもっと歩かなければ」といった具合に、ユーザーのモチベーションにもなる。

 歩数計で使っているセンサーを応用しているので、歩数・歩行時間・距離といった歩数計の機能も備える。初期の歩数計は1方向(1軸)だけの動き(加速度)を感知するセンサーから商品化が始まり、その後、2軸加速度センサーへと機能アップされた。現在では「3D」と呼ぶ3軸加速度センサーが主力だ。当初は「タテ」だけの動きを感知していたのが、3Dでは「タテ・ヨコ・ナナメ」を感知できるようになった。

 タニタは2006年に業界の先陣を切って3Dセンサーによる歩数計を商品化した。歩数計は通常、ベルトに装着するが、精度の高い3Dタイプは携行するカバンに入れていても計測できるという。研究部門では、この3Dセンサー技術を生かそうと、歩数計が発売された当時から新たな用途開発にも着手した。そのひとつが消費カロリーの計測だった。

営業時代に知った顧客の敏感な反応

 カロリズムの商品化を担当したヘルスケア事業部商品企画課の加藤純(33歳)は、そのころ営業部門から企画部門に移ってきた。00年に入社し、スーパーやホームセンターなどあらゆる量販ルートでの営業を経験してきた。

 タニタは歩数計でも消費カロリーをはかる機能を早くから装備していた。ただし、歩くという身体活動だけでの消費分なので、1日の総消費量の十数%しかカバーできないのだという。消費カロリーについて、加藤は営業時代に顧客の敏感な反応を見ていた。店頭で歩数計の消費カロリー機能を説明すると、多くの顧客が「えっ、はかれるの?」と驚いていたのだ。そうした経験から、1日の総消費カロリーが計測できる商品への手ごたえを感じ取っていた。

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