2024年5月4日(土)

対談

2015年9月28日

「平等」をどう考えるか

久松 でも、曲がりなりにも人数で回してしまっている組織は、変えるのが難しい。

木下 回っちゃっていますし、その人数を抱えることそのものが、組織の目標になってしまったりしますよね。組織は単一の存在ではなく、中にいる人間の総体なのですが。

久松 誰もが「もっと効率良いやり方があるはずだ」って思っていても、誰かの仕事を奪うことになるし、できない。だから、小さいプレイヤーの方が変えやすいんですよ。そういう意味では地方のほうがむしろアドバンテージがあるんです。

 ただ、地域再生の場合、合意形成が必要じゃないですか。「誰かの仕事を奪うかも知れない」と考えだすと、際限なく合意を取らなければいけないでしょうけど、それがうまくいく場合とうまくいかない場合で何が違うんだろう。

木下 「仕事を奪う」とまではいかなくとも、仕事のやり方は変えてもらわなくてはならない。だけど、これがなかなかできないんですよね。だから合意形成を行うと、「変える」ということが最大の抵抗にあうんですよね。

 日本での合意形成は行政が主体になることがほとんどで、その場合は公平性や公共性が重要視されざるをえないから、合意の調達にも時間がかかるのですが、アメリカなどでは、そもそも全員で一致しようとはしない。合意できる範囲でスタートさせ、違う意見の人たちはまた別のグループとして事業をスタートさせる。複数の価値観があってもいい、それぞれに価値観や利害が一致したグループごとに事業をスタートさせ、結果として生き残ったものがそのまちに必要なものだったんだ、という考え方ですね。

久松 利害の一致した集団だけでやるから、合意形成がそもそもいらないわけですね。

木下 成績の上がらないエリアマネージャーの首は切られますし、成功すればヘッドハントされて、さらに高い報酬で雇われます。つまりはプロの仕事で、仲良しクラブではないんです。

久松 そこにはある種の排他性もあると思うのですが、それは人種や階層の排除とも表裏一体のものなんですか?


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