今月の旅指南

2009年11月18日

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辻 一子 (つじ・いちこ)

岡山県生まれ。フリーライター。旅行会社のPR誌の編集者を経て、1998年からフリーランスに。旅の雑誌を中心に活躍。

何必館・京都現代美術館館長の梶川芳友氏。魯山人の生涯、作品を45年間追い求めてきた

――話が変わりますが、魯山人は生れ落ちるとすぐに貧しい農家に里子に出され、それを振り出しに養家を転々とさせられますね。彼が弱いものや日陰のものを愛しむのは、彼が酷薄不遇な幼少年期を送ったことと関係があるのでしょうか?

梶川館長:それは「根」としてはあると思いますね。魯山人は料理の食材を粗末にしなかったし、陶芸で失敗しても捨てるのを嫌ったそうです。ヒビが入っても、銀で補修して焼き直して、すばらしい作品に生まれ変わらせた。愛情と時間をかけることで欠点を長所に変えたんです。そういうところにも魯山人の愛情深さを感じます。私は魯山人に会うことができませんでしたが、もしも会っていたら何も起こらなかったかもしれない。叶わぬ思いが、思いを大きくすることってありますよね。

 今回の展覧会は、私が45年間思い続けて“魯山人の世界”を1つの形にしたものです。魯山人の生存中に行き来のあった方から「この展覧会を魯山人に見せてやりたかった!」と言われました。最高のほめ言葉です。魯山人の作品はなぜ多くの人を魅了するのか、彼は作品を通して何を訴えようとしたのか。ぜひ、実際に魯山人の作品をご覧になって、その答えを見つけていただきたいですね。

没後50年 何必館コレクション—生活の中の美—「北大路魯山人」展
京都市東山区・何必館・京都現代美術館(京阪本線祇園四条駅下車)
〈問〉075(525)1311
http://www.kahitsukan.or.jp/frame.html
〈巡回展〉静岡コンベンションアーツセンター「グランシップ」
2009年12月11日~2010年1月11日 会期中無休

※「今月の旅指南」は月刊「ひととき」に掲載されていますが、この記事はWEB限定です。

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