2024年4月29日(月)

海野素央のアイ・ラブ・USA

2016年4月25日

副大統領候補のカードと若者

クリントン選対で支持要請の電話を入れるボランティア(筆者撮影@ニューヨーク市マンハッタン区)

 確かに、クリントン候補は大票田のニューヨーク州で勝ち、その結果、指名獲得に必要な代議員数1237人が視野に入ってきました。しかし、依然として解決されていない課題も明らかになりました。ニューヨーク州民主党予備選挙においても、クリントン候補は若者層(18-29歳)の票を獲得できなかったのです。米ニューヨーク・タイムズ紙によれば、出口調査でサンダース候補は若者層の約7割を獲得し、クリントン候補に大差をつけています。

 テキサス州、ミシガン州及びフロリダ州と同様、クリントン選対では地上戦における若者の不足を労働組合員で補ってきました。率直に言ってしまえば、女性、アフリカ系、ヒスパニック系(中南米系)、若者及び同性愛者で構成される「異文化連合軍」の支持を得て勝つというクリントン陣営の選挙戦略が、予備選挙後半に入っても確立できていないのです。

 クリントン陣営における若者の不足は、6月7日のカリフォルニア州等で行われる予備選挙まで続くと筆者はみています。この問題を解決できる唯一の方法は、「副大統領候補のカード」を切ることです。若者と未婚の女性を引きつけ、エキサイティングと情熱をクリントン陣営にもたらし、しかも「非常にリベラル」な有権者と統一が図れる副大統領候補が、同陣営には不可欠なのです。以上の条件を満たす副大統領候補は、エルザべス・ウォーレン上院議員(民主党・マサチューセッツ州)でしょう。

 だた、副大統領候補にウォーレン上院議員を選定した場合、女性(大統領候補)と女性(副大統領候補)の組み合わせとなりリスクを伴うのも事実です。さらに、ウォーレン上院議員はまだクリントン候補に対して支持表明をしていません。2人の間にラポール(親密な関係)があるのか、相性が良いのかも非常に重要な要素になります(図表)。そうは言っても、現在クリントン陣営が直面している課題の解決を最優先するならば、同上院議員はかなり魅力的な副大統領候補であることは間違いありません。

 次の民主党候補指名争いは、コネチカット州、デラウエア州、メリーランド州、ペンシルべニア州及びロードアイランド州の5州で行われます。これらの州の内、ロードアイランド州のみで無党派層が投票できます。民主党員のみが投票する4州でクリントン候補は、サンダース上院議員に対して有利な戦いを進め、指名獲得に必要な代議員数2383人にさらに近づいていくでしょう。
 

  
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