2024年4月26日(金)

マネーの知識

2016年6月16日

ドラマチックな展開、投票の延期?

 前述の通り、政治・経済的な中期的困難が明白ではあるのに、足元の調査では離脱派が優位になりつつある。米国大統領選に酷似しているが、どうも投票者の社会・経済的環境や、人生計画の長さが二分化されてしまっているようだ。

 足元では労働党(野党)のジェレミー・コービン党首が支持者に対して「EU残留」に投票するように呼びかけている。ただ、その甲斐なく、このまま離脱派が勢力を拡大し、圧倒的優位な世論となったらどうだろうか?

 非常事態の中、キャメロン首相が労働党(野党)と協議をし、国民投票を延期する可能性はどうだろう? 差し迫った状況で、時間さえあれば(離脱派の英国国民にとっての)EU側から何等かの譲歩を獲得することはできるのではないか。私にはそれだけの価値のある「残留」に見える。

リスクオフ

 今回のイベントは、展開によっては世界の政治・経済に幅広く影響を与えかねないイベントで、極めて予測も難しい。リスクオフの姿勢で挑み、投資期間に合致した事態の収束を狙う投資が好ましい。

 投票翌日にはユーロ圏各国中銀総裁による電話会議の開催も予定されており、(離脱の場合には)欧州中央銀行(ECB)やイングランド銀行(英中銀)が連携して流動性支援を打ち出す、との見方もある。ただ、金融市場の落胆はその程度では誤魔化されないだろう。そもそもECBは既に各国金利と調達コストの差を埋める意味もあり、今までも今後も量的緩和策を止めることはできない。

 仮に「離脱」となると、短期トレードとしては自律反発を狙うこともあり得るが、前述の通りその悪影響は長い時間を掛けて、段階的に他国・他資産へと飛び火し続ける可能性がある。

 急激なリスクオフ時に、流動性の問題から価格が大きく下振れて魅力的な買い場が来る可能性があるのはREITだ。マイナス金利で相対的な魅力が高まっているが、同じ理由からは高配当銘柄の急落も注目だ。
 

  
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