前向きに読み解く経済の裏側

2016年9月12日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

久留米大学商学部教授

1981年、東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。主に調査関連部署に勤務した後、2005年に銀行を退行して久留米大学へ。著書に『増補改訂 よくわかる日本経済入門』(朝日新書)、『老後破産しないためのお金の教科書』(東洋経済新報社)、『世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書』(宝島社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)など多数。

 これを逆から見ると、普通の店では昼食時と夕食時にコックが料理できる客数だけしか受け入れられないのに、ビュッフェ店ではそれを上回る客を受け入れることができる、ということになります。普通の店ではコックの調理能力がボトルネックになっている(そこさえ改善されれば利益が増えるという場所)になっているのが、ビュッフェ店ではボトルネックが解消されているというわけです。

 効率化という点では、客が自分で取って食べるので、給仕が不要である、という点も重要です。それ以上に重要なのは、客が店に入ってすぐに食べ始めるので、客の回転率が高いという事が挙げられます。同じ席数の店ならば、回転率を高めて多くの客に来てもらうことが重要だからです。

 客室回転率を考える際に今ひとつ重要なことは、客の満足度です。いくらボトルネックが無くても客が来なければ回転率は上がりませんから。その点、ビュッフェ店は客にとって「お得感」があるので、集客が楽だ、という点も重要でしょうね。

ビュッフェ店の負担は材料費が増えるだけ

 客は、3000円払って単価2000円の料理を2つ食べて、満足します。店にとっては、客が1つ食べた場合よりも1000円余分に収入を得ます。では、客が2つ食べたことにより、店のコストはどれだけ増えているでしょうか。それは、材料費の分だけですね。

 単価2000円の料理には、材料費のほかに、店を借りる費用(あるいは所有している店であれば減価償却費等々)、店員の給料、店の利益などが含まれています。こうした費用は客が2つ食べたからといって増えるものではありません。したがって、材料費が単価の半分の1000円であれば、客が2つ食べて3000円しか払ってくれなくても、問題無いのです。

 材料費のように、売上げが増えると費用も増えるものを「変動費」、店を借りる費用や店員の給料などのように、売上げと無関係な費用を「固定費」と呼びます。

 客が多く食べると、客の満足度が上がり、客が払っても良いと考える金額も増えますが、店のコストは変動費分だけしか増えないので、客が満足すると同時に店も儲かる、といった事が可能になるわけです。

 固定費と変動費については、面白い話が数多くありますので、別の機会に詳述しましょう。

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