世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年7月21日

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 ハッサン・ハッサン(タハリール中東政策研究所研究員)が、6月14日付の英フィナンシャル・タイムズ紙に、「ISはジハードのために一匹狼を結集している。アルカイダと違い、ISはシンパを潜在的兵士とみなしている」との論説を寄せ、今後、フロリダ乱射事件のような一匹狼による犯行が増えると警告しています。ハッサンの論旨は、次の通りです。

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 ISはジハードのために一匹狼を使うやり方に変化をもたらしている。アルカイダはシンパを自己の正統性を確立するものとしていたが、ISは軍事作戦の要員とみなしている。

 ISのメディア担当部局アマックは、オマル・マティーンによるフロリダでの乱射・大量射殺事件へのISの責任を認めた。米当局は、マティーンはISの名前を使っているが、ISの工作員ではないと信じている。アマックはまたパリ近郊での警官とその妻の殺害の犯行の責任を認めた。メディアは犯人をIS「戦闘員」としている。

ラマダンを「災難の月」に

 ISのスポークスマン、アドナニはシンパに対してラマダン期間中に居住国で攻撃を行うようにとの演説をした。2015年6月にも彼はラマダンを「災難の月」とするように呼びかけた。

 マティーンは警察に電話でISへの忠誠を通告した。2015年12月のサンバーナーディーノの犯人もフェイスブックでIS支持を表明していた。アルカイダはシンパの存在それ自体を自分のプロジェクトの正統性の証左と評価していた。ISはアルカイダとは異なり、シンパをその軍隊への兵士候補と見ている。

 シリアのアルカイダ支部、ヌスラ戦線はジハード・シンパによる小規模攻撃は逆効果で、西側でのムスリムを傷つけ、西側の当局の思うつぼになっているとしている。文民の被害についても、アルカイダはホテルや大使館など目立つ対象を攻撃し、その際の文民被害をそれに付随するやむを得ざるものとして宗教的に正当化していたが、ISは文民そのものを攻撃対象にしている。アドナニは5月に、西側諸国には「無辜の民」などおらず、「十字軍の敵国」には血の神聖はない、文民攻撃はより効果がある、と言っている。

 将来、一匹狼攻撃はISの海外戦略の中心になるだろう。ISがシンパにジハード参加を奨励するに従い、一匹狼攻撃はもっと多くなるだろう。

出 典:Hassan Hassan ‘IS rallies lone wolves to the jihadi cause’ (Financial Times, June 14, 2016)
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/f7c31bda-3216-11e6-bda0-04585c31b153.html#axzz4Bbhn9VcQ

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