世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年2月6日

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 サミュエルソンが書いていることは正論ですが、この程度の議論ではトランプの恫喝を止めることはできないでしょう。トランプは「神が創造した最も偉大な雇用の創出者となる」と言っています。何といっても雇用の維持・創出には支持があります。政府の介入が不成功に終わった例としてジョンソン政権時代のインフレ抑制の努力のことが書かれていますが、対比すべき的確な例とは思えません。

取り引きに基づく資本主義への第一歩

 ローレンス・サマーズが昨年12月にワシントン・ポスト紙にブログを掲載しています。彼は、米国の資本主義はルールと法に基づくものだと考えてきたが(ロシアやインドネシアなどそうでない資本主義もある)、キャリアのケースで目撃したことはアドホックな取り引きに基づく資本主義への第一歩である。経済全体から見れば些細なことであるが、ある意味で間違った税制や関税よりも深刻な問題である。大統領がその力を抑制することを知らなければ、ほとんどの企業は大統領の意を迎えることになる、と警告しています。その通りだと思います。キャリアやフォードのような大企業が白旗をあげたことは、大統領に逆らうことは経営判断として出来ないということでしょう。

 トランプがキャリアのケースを804回繰り返すとオバマ政権下における製造業の雇用創出規模に届くだろうとアーネスト元報道官は皮肉りました。口先介入の対象になり得るケースがどの程度あり得るものか判りませんが、日本企業としては、ここはトランプの4年間をいかに凌ぐかという観点で考えるべきでしょう。米国大統領を敵にまわしたくはありません。トランプの口先介入には、若干の脚色はあっても構いませんので、5年、10年に何百億ドル投資し雇用創出に貢献するといった類の計画を打ち出して、トランプの歓心を買うことで対抗するのが良策でしょう。

  
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