世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年4月5日

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 ウルフは、GDPが、中国が年3%、インドが4%、米国が1.5%で成長するとすれば、2050年までに、購買力平価でインド経済は中国に次ぎ、米国を抜いて世界2位となる、と言っています。そして、このような長期の見通しは、前提が問題であり、インドが今後25年間、年4%で成長を続けるためには、教育、環境、外的経済環境(輸出の確保)の3つの重要な長期的課題に取り組まなければならない、と述べています。外的経済環境はインド一国ではいかんともしがたい面がありますが、教育、環境はインドの政策の問題で、インド政府が如何に積極的に取り組むかにかかっています。

カギを握る中産階級

 その重要なカギを握っているのがインドの中産階級でしょう。中産階級は成長し、力をつけると政治的発言をするようになります。韓国、台湾が先進国経済への道を歩んだのは、中産階級が独裁政治から民主政治への変化を促したためと言われています。

 インドは既に民主主義国家なので、中産階級の果たす役割は韓国、台湾とは異なりますが、経済発展を阻害するような民間部門の受け入れの躊躇や、所有権保護の不徹底、過度の規制などについて、次第に声を強め、政府に改善を要求するようになる可能性があります。また、インドの直面する長期的課題である教育や環境についても、政府のより積極的な取り組みを促すことになるでしょう。

 そうすれば、経済発展が中産階級を育て、中産階級が経済発展を支えるという好循環が生まれることになります。

 インドが中国と並ぶ経済超大国になれば、中国のような専制政治下の経済発展のモデルに対し、民主主義体制下の経済発展モデルを提供することとなり、好ましいことです。
なお、ウルフの言う「運命との約束(tryst with destiny)」というのは、「運命を好ましい方向へ向かわせるように挑戦すること」と言ったような意味でしょう。

  
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