オトナの教養 週末の一冊

2017年4月29日

»著者プロフィール
閉じる

塚崎公義 (つかさき きみよし)

久留米大学商学部教授

1981年、東京大学法学部卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)に入行。主に調査関連部署に勤務した後、2005年に銀行を退行して久留米大学へ。著書に『増補改訂 よくわかる日本経済入門』(朝日新書)、『老後破産しないためのお金の教科書』(東洋経済新報社)、『世界でいちばんやさしくて役立つ経済の教科書』(宝島社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)など多数。

 経済コラムニストの大江英樹氏と社会保険労務士の井戸美枝氏の2人が、6回にわたり対談をした記録を基に、出版された本です。元が対談だけに、肩に力を入れずに読める本であり、しかも6回分の対談ですから内容的にも充実しています。到底全部は紹介出来ないので、評者が興味を持った部分を独断で御紹介します。太字部分が引用(一部編集)、それ以外は評者のコメントです。

「大江語録」

「3000万円ないと老後破産」はウソ。可能な限り働けば良い。

 自営業者は年金が少ないが定年が無いので、元気なら長く働きましょう。サラリーマンもその妻も、老後は働きましょう。幸い、少子高齢化による労働力不足ですから、高齢者でも仕事は見つかるはずです。

老後の収入、支出などが分からないから不安なので、分かれば安心。

 たしかに、不安に思うだけでは何も解決しません。年金制度などを学べば収入の見当はつきます。現役時代の支出を家計簿から把握すれば、老後の支出も見当が付きます。家計調査などを参考にしながら、医療費等の増加を忘れないように(笑)。

定年間際にいきなり運用を始めることは絶対にすすめられない。

投資で失敗して死んだ人はいますけど、投資しなくて死んだ人はいません。

 それはそうですが、一方で、インフレの可能性を考えると、預貯金もリスク資産なので、分散投資は必要です。「退職の数年前から米ドルや株式投信をコツコツ買って行く時間分散投資」なら、投資の初心者でもリスク分散が可能なので、是非ともお勧めです。

60歳からの起業は「月3万円稼ぐ」規模で。

60歳起業は仕事が無くても何とかなるので気楽である、と大江氏。でも、最低65歳までは自分で生活費を稼いで退職金を温存したいですね。妻がパートで月20万円稼ぐなら、夫は小遣い程度の収入で良いでしょうが。

会社員の多くは、現役時代は自信過剰で、退職後は自信喪失。

 たしかに自信過剰な現役は多いですね(笑)。人事評価に不満を持つ人が多いですから。
退職後は、他人と競争する必要はありません。労働力不足の時代ですから、人並みの能力があれば、活躍できる場所は充分にあると思いますよ。

医療費保険には加入していません。公的医療保険制度が最強だからです。

 日本は国民皆保険で、高額療養費制度(高額の医療費がかかっても、自己負担には上限があるという制度)がありますから、どんな難病を患っても、自己負担額はそれほど大きくありません。それを知った上で医療保険に加入すべきか否かを考えるべきでしょう。

人脈とは、あなたの強みを知っている人のこと。

 たしかに、自分の能力をしっかり理解してくれる人が多ければ、老後の仕事を紹介してもらえるかもしれませんね。でも、「君のためなら協力するよ」と言ってくれる事も大切ですね。「君の能力は知っているけど、君のことは嫌いだから」と言われてしまっては困りますから(笑)。

会社員の老後は孤独、自営業者の老後はお金が最大の心配。

 会社員は、定年後に付き合える友人を作っておく必要がありますね。同窓会などに積極的に参加するのも良いでしょう。一方で、自営業者は年金が今ひとつで、退職金もありませんから、老後のための蓄えは頑張りたいですね。

努力が大切。最高のものを提供しないと、次は無い、という感覚が必要。

 これは、老後に限った事ではありませんね。自営業者は、若い時から痛感しているでしょう。サラリーマンの場合は、出世競争が一段落した後は「少しくらい手抜きしてもクビにはならない」という甘えが出ますから、老後に自営業を始める時に注意が必要ですね。

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る