定年バックパッカー海外放浪記

2017年7月16日

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高野凌 (たかの りょう)

定年バックパッカー

1953年生まれの62歳。横浜生まれ、神奈川県出身。大学卒業後は商社、メーカー勤務を経て2013年定年退職。2014年春から海外放浪生活を始める。放浪歴は地中海、韓国、インドシナ半島、インドネシア、サンチアゴ巡礼など。サラリーマン時代は主として海外業務に従事。ニューヨーク、テヘラン、北京にて海外駐在を経験。身長170センチ、57キロ。獅子座。A型。現在2人のご子息は独立し、夫人との2人暮らし。孫1人。

テレビで見たサンセット・ブルーバードはアメリカンドリームそのもの

 5月18日(水)。いよいよルート66の最終行程。10時頃サンセット大通り(Sun set Buolevard)に入る。サンセット大通りはわれわれ昭和20年代生まれにとっては特別の思いがある。1960年頃に民放テレビで放映されていたアメリカの人気探偵シリーズ“サンセット77”の舞台なのだ。

「兵どもの夢の跡」カリフォルニアの金鉱山の廃鉱

 小学校低学年の頃まだ自宅にテレビがある家が珍しい時代、1960年代の日本のテレビで人気を博していたのは圧倒的にアメリカの連続ドラマであった。ホームドラマ、コメディー、サスペンス、西部劇となんでもあった。ちょっと思い出すだけでも“パパは何でも知っている”、“アイラブルーシー”、“奥様は魔女”、“名犬ラッシー”、“逃亡者”、“アンタッチャブル”、“ララミー牧場”、“ローハイド”……。

 当時テレビのブラウン管を通して覗いたアメリカはまさに夢の世界であった。アメリカのサラリーマンの家でも芝生におおわれた広い庭に大きな犬が放し飼い。リビングには絨毯が敷かれてソファーの前にテレビと暖炉。そしてキッチンには背の高さを超える巨大な冷蔵庫。

サンセット大通りからサンタモニカへ

 今トランプ支持者たちが求める「古き良き偉大なるアメリカ」を1960年代の日本人はテレビドラマを通じて憧れていたのである。そんなことを懐かしく思いながら車窓から街の景色を眺めていて何か違和感を覚えた。

 サンセット大通りの舗装はかなり傷んでおり補修も杜撰。周囲の建物も古びて一部はスラム化している。町全体を客観的に眺めると現代の東京の街並みのほうに軍配があがる。過去60年の間に日本が経済成長した結果、日本の大都市はアメリカ並みに発展してさらに追い越している部分もあるのだろう。さらに中国、アジアの国々も日本同様に経済成長の結果としてぴかぴかの近代的大都市がどんどん出現している。

 アメリカが世界の半分近い富を独占して一人勝ちの繁栄を享受していた戦後の時代から70年の間に世界が変わってしまったのだ。自由貿易と経済のグローバル化の恩恵を受けて各国の所得水準が向上するにつれてアメリカ経済の相対的な優位性が低下してきたのだ。

 こうした大きな流れを考えると“アメリカを再び偉大な国家にする”というトランプ氏のスローガンが虚しく響く。

⇒16回に続く

  
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