赤坂英一の野球丸

2017年11月8日

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 DeNAの大健闘で盛り上がった今年の日本シリーズ、個人的に最も印象に残ったのが、終始一貫してクールだったアレックス・ラミレス監督の言動である。シリーズ開幕前日、ソフトバンク・工藤公康監督に「レギュラーシーズンと同じ予告先発制にしよう」と持ちかけられて「ノー」と回答。スポーツ紙には〈断固拒否!〉という大見出しを付けられ、ラミレス監督がいかにも感情的になっているような印象を与えたが、実際は極めて冷静にこうコメントしている。

(yanggiri/iStock)

 「シーズンと違い、日本シリーズのルールでは予告先発を行うことになっていない。われわれとしては、ただルールに従ってやりますということ。相手の申し出を拒否したとか、そういうことではありません」

 ここでラミレス監督が少しでも工藤監督に批判的なことを言えば、スポーツマスコミはすぐ〝舌戦〟を煽ろうとしただろう。

 2001年に来日し、ヤクルトをはじめ、巨人、DeNA、BCリーグ・群馬と、日本一筋に中軸打者としてプレーし、指導者時代も併せると来日17年目。監督の言動がマスコミにどのように報じられ、それがまたチームにどのような影響をもたらすか、嫌というほど知り尽くしている。だから、敵地・福岡ヤフオク!ドームで行われた第2戦、3−2と2点をリードして迎えた七回、ビデオ判定でアウトがセーフに覆り、ソフトバンクに逆転の1点を許しても、恨みがましいことは一切口にしなかった。

 「こちらが敗れたが、接戦(3-4)でいい試合だった。判定の結果は仕方がない。アンパイアがしっかりリプレー検証をしてセーフとジャッジした以上はセーフですよ」

 これがもし中畑清・前監督だったら、どのように対応しただろう。最終的に判定を受け入れたとしても、黙って引き下がるわけにはいかないとばかり、審判に対して猛抗議して見せたに違いない。私は1996年、オリックス−巨人の日本シリーズで、オリックス・仰木彬監督が審判団に猛然と異議を唱え、選手をグラウンドからベンチへ引き上げさせた光景を見た。一昔前は、指揮官が〝戦う姿勢〟を見せるとはそういうことだったのだ。

 しかし、ラミレス監督はあくまで泰然自若。決して感情を表に出そうとしない。

 本拠地・横浜スタジアムに移っての第3戦では、何とか勝機をつかもうと激しく動いた。一回無死一塁でランエンドヒットを仕掛けたところ、打者・梶谷隆幸が打って出ずに一走・桑原将志が二塁で盗塁死。その梶谷が四球で一塁に出ると、2死から4番・筒香嘉智の打席の2球目で盗塁させ、これも失敗。無闇に先制点をほしがって、徒に策を弄しているようにも見えたが、ラミレス監督は悪びれもせずにこう説明している。

 「われわれはスモールベースボールをやろうとしているわけではありません。2番に梶谷を置いているのは、攻撃的な野球をやるためです。彼を使って相手にプレッシャーをかけようとして、ああいう作戦を取りました」

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