世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年11月23日

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 この社説は、的を射た主張をしています。

 「イスラム国」を敗北させた後、「イスラム国」が占拠していた領域の奪い合いが始まっています。トランプ政権は、シリアとイラクでの「イスラム国」打倒の主要目的は達成されたからということで、シリア、イラクから手を引こうとしていますが、それを諫めたものです。

 戦争については、戦場で勝負がついても、戦争は半分も終わっていないと考えるべきであり、戦後の秩序構築が最も重要と言っても過言ではありません。それをなおざりにすると、戦争の意味さえなくなることがあります。

 吉田茂元首相は、「どんな講和条約を作るかが最重要である。それによって負けを取り戻せることもある」と言ったといいます。吉田元首相の指摘は、その通りでしょう。

 この社説がトランプ大統領にどう影響するかは分かりませんが、歴史に詳しいマティス国防長官は、社説の趣旨を理解し賛同するように思われます。

 イラン人の発想の仕方はよく分かりませんが、ロシア人は戦争と平和を連続したものと考え、断絶したものとは考えません。したがって、「イスラム国」の敗北後、その真空をどう埋めていくのが最もロシアの利益になるかを考えるのです。

 「イスラム国の敗北」は、慶賀すべきことです。しかしながら、シリア、イラク問題は引き続き残ります。アサド退陣とその後の体制構築に、米国は引き続き関与すべきでしょう。「イスラム国」のエピソードが終わったからといって、シリア、イラクから手を引くとの選択をすれば、米国の中東での影響力は酷く減退するのではないかと思われます。

  
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