メイドインニッポン漫遊録 「ひととき」より

2018年1月11日

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グッドイヤーウェルト製法によるソール部分のすくい縫いも職人が1つ1つ手作業で行う

 創業は昭和16年(1941)。宮城興業という社名は、創設の地が宮城県仙台市なのでそう名付けられた。昭和27年に現在の場所に移転。昭和44年には当時ノーサンプトンにあった靴メーカーのバーカー社と技術提携して、早くから英国の伝統的なソールを縫いつける技法、グッドイヤーウェルト製法を導入する。日本における同社の製造販売権も得ていた。

 レンガ色の三角屋根に白塗りの外壁。クラシックな英国建築を思わせる社屋の門扉には、今も「英国バーカー社と技術提携」と書かれた銅製の看板が誇らしげに掲げられている。

宮城興業の門前から見える三角屋根の工場。冬場の雪かきは大仕事

 「古い建物でしょう。でも冬場の大雪にも、東日本大震災にもびくともしなかったんです。だから別に建てかえる必要もないし、その分違うところにお金をかけられますからね」

社長の高橋さん

 そう言って、ワレワレを出迎えてくれたのは社長の高橋和義さん。ピカピカに磨かれた黒いカーフのストレートチップ。むむ、いい靴を履いてらっしゃる。靴好きはすぐ足元を見てしまうのだ。もちろん、宮城興業の靴だ。

 高橋さんは大学を卒業して大手靴メーカーに勤めた後、昭和59年、25歳の時に宮城興業に入社する。入社後すぐに社長である父親からノーサンプトンのバーカー社に1年間の技術研修を命じられた。

 「英国でコテンパンにやられて帰国しました。山形県人は素朴で実直ですからね。いきなり向こうの生活に慣れろと言われても言葉もわからないし喋れないし、何を聞かれても黙ってばかりいた毎日は辛かったですよ(苦笑)」

 この辛かった1年間の技術研修が、のちに社長に就任する高橋さんのチャレンジ精神に火をつけるのだ。

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