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2018年5月31日

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マルトリートメントとは

『子どもの脳を傷つける親たち』(友田明美、NHK出版)

 『子どもの脳を傷つける親たち』の中で、友田さんは「マルトリートメント(maltreatment)」という言葉を使っている。これは「不適切な養育」の意味。

 「言葉による脅し、威嚇、罵倒、あるいは無視する、放っておくなどの行為のほか、子どもの前で繰り広げられる激しい夫婦げんかもマルトリートメントと見なします」(本書より)

 これまでの研究では、殴る蹴るの暴力や性的虐待だけではなく、暴言や夫婦げんかを目撃すること(面前DV)でも子どもの脳に深刻な影響があることが確認されている。一方で友田教授は、「マルトリートメントがまったくないという家庭など存在しない」とも言う。

 親は誰しも完璧ではないからこそ、不適切な養育をしてしまうことがある。親自身もマルトリートメントを受けてきた場合もある。その影響を親が知り、繰り返さないことが必要だ。

一生懸命な育児が空回りするときがある

――確かに「虐待」だと、犯罪を連想します。

友田:マルトリートメントは、ケアを意味する「treatment」に「悪い」を意味する接頭語の「mal」がついた言葉です。虐待よりも広い概念「不適切な養育」を意味します。

 普通のお父さん、お母さんは一生懸命育児をしています。一生懸命やっている中で空回りしてしまって不適切な養育になる。それを臨床の現場でたくさん見てきました。

――子どものためと思ってやっていることが、マルトリートメントになることがある。

友田:はい。兄弟同士で比べる、目の前で夫婦げんかをする、過干渉や、放置もマルトリートメントです。「マルトリートメント」は自分には関係ないと思っている親御さんに気付いていただきたいと思って本書を書きました。

――どんな反響がありましたか。

友田:これは私が人生で初めて書いた一般書です。これまでは専門書ばかり書いてきましたから、今回も1000部でも売れたらいいなと思っていたら、なんと10回目の増刷がかかって5万部を突破しました。

――すごい。

友田:お子さんに包丁を突き付けられて、一家心中しそうだと言って相談しに来られた方が、この本を読んでがらりと変わられました。「自分は育て直しをしないといけない」と。不適切な養育によって子どもが脳をケガしている状態と知り、子どもに対する姿勢が変わったのです。どんなことがマルトリートメントにあたるのか、また、それが子どもの脳にどのような影響を与えるかを知って、合点がいった、納得できたというお手紙をいただくとうれしいですね。

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