今月の旅指南

2011年4月28日

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辻 一子 (つじ・いちこ)

岡山県生まれ。フリーライター。旅行会社のPR誌の編集者を経て、1998年からフリーランスに。旅の雑誌を中心に活躍。

人の波をかきわけて進む 武者人形山車。 平成17年撮影 
写真提供:福井県観光連盟

 江戸時代から明治初期にかけて北前船〔きたまえぶね〕交易で隆盛を極めた三国湊(福井県坂井市三国町)。今も、格子戸の町家や豪商の屋敷跡などが見られ、往時のにぎわいを感じとることができる。

 そんな三国町が1年で最も活気づくのが、毎年5月19日から21日まで3日間にわたって行われる三国神社の祭礼。北陸三大祭りの1つに数えられている三国祭〔みくにまつり〕だ。

   「祭りの呼び物は、なんといっても中日の20日に登場する巨大な武者人形山車ですね」と話すのは三国祭保存振興会会長の志尾章さん。人形山車は、1700年頃の笠鉾、担い屋台が始まりとされ、三国湊の繁栄とともに、屋台に人形をのせた曳き山車へと変化していった。

 「豪商たちが競って立派な武者人形を作ったため、山車がどんどん巨大化していったそうです。そんななかで腕の良い人形師たちもたくさん育っていきました」

 現在は、三国にただ1人残る人形師と町の人たちの手で、毎年、作り替えられているという。柴田勝家や秀吉、家康などを題材にした武者人形はどれも勇ましく、湊の男たちの心意気を感じさせる。

 山車の高さは明治中期には10メートル以上もあり、近隣の村からも勇壮な人形の頭が見えたとか。しかし、町内に電線が張りめぐらされて通れなくなったため、現在の高さは6メートル50センチほど。それでも2階の窓から眺めても見上げるような大きさだ。

 さて、いよいよ20日の朝。町内を出発した7基の武者人形山車が三国神社に勢ぞろいする。そして神事の後、午後1時には神社から三国駅前までおよそ3キロの巡行へと出発。山車の下段には囃子方〔はやしかた〕が乗り、笛や三味線に合わせて子供たちが太鼓を打ち鳴らす。

 「三国の町は、“帯の幅ほどある町”と形容されるように細長い路地が入り組んでいます。その古い町並みを、見物人の波をかき分けるように巨大な山車が進む光景は迫力満点ですよ。三国湊がもっとも輝いた時代の熱気をぜひ体感していただきたいですね」
 

三国祭
〈開催日〉2011年5月19~21日 
〈会場〉福井県坂井市・三国神社~三国駅(北陸本線芦原温泉駅からバス)
〈問〉坂井市観光課 0776(50)3152
http://www.mikunijinja.jp/

 

◆ 「ひととき」2011年5月号より

 

 

 

 

 

 
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